フリーハンドで(西畑) ページ9
1/2 (彼女)
「なぁなぁ」
「んー？」
「なんもなぁい」
「なぁんやねん」
甘えてるわぁ。
自分で気付いてちょっと恥ずかしくなる。
魔法の飲み物に頼ってもいないのに、目尻が下がるし、言葉は足りなくなる。
寝転んだベッドの上で肘をついて、二人で眺める雑誌のページには、青い海。
綺麗やなぁ。うん。ここでかき氷食べたい。ええなぁ。
口だけの二人だから、エアコンの効いた部屋で写真を見るだけで満足してしまう。
そんな怠けた所も許し合おう。
「あ、ここ前に行ってたやんなぁ？」
「ロケで行ったなぁ、丈くんと」
「エンドレスやぁ、エモ」
「て言いつつ映画見てへんやろ」
「見たんですよねそれが」
「いつの間に！？」
「この前DVD買いましたぁ」
「何年前の西畑よー恥ず」
「若かったね。かぁいかったよ」
そう言って目を細めるA。からかってるわ。
こっそり右足でAの足の裏をつつく。
そしたらAも、俺の足をトントンって蹴り返してきた。
ひんやりしたふくらはぎを探り、互いの脚が絡まって、そのままグイグイ謎の引っ張り合いをする。
「んしょー」
「おー……て痛い痛い痛い！」
「あ、ごめんごめん」
「変な方向に曲がるか思った」
「あはははは…っわ！」
仕返しのつもりでAの脚に足を掛けて引っ張ったら、Aは上手にぐりんとひっくり返って、俺の背中に乗っかった。
腰の上によく知った柔らかさが収まる。
知らない内に冷えていた肩甲骨に、じんわりと熱が伝播した。
「大吾の背中あったかぁ」
「俺はAあったかぁ思ったで」
「うそぉ」
「てか早よどいてー」
「えー快適やのに」
「よっこいしょ」
少し体を傾けたら、Aはきゃーと嬉しそうな声をあげながらベッドに転がった。
シーツにぴっとりくっついて、ちょっと潰れた右頬が愛らしい。思わず指を伸ばしたら、シャーと口を開けて威嚇してきた。こねこのいかくや。
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黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
