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「ひゃあっ！」
「わ！Aちゃん！暴れたら落ちるから！」
バランスを崩しかけた私を、神様は自分の胸に押さえ付けるようにして抱き直した。
密着した体から伝わる体温や心音は人間と変わらなくて、急に恥ずかしくなってきた。
「いい子いい子。そのまんまじっとしててな」
神様はぴょんぴょんと跳ねるように空中を歩いて、誠也くんの前まで降りて行った。
そのまま下ろしてくれるのかと思って誠也くんの方へ手を伸ばしたら、神様がふいっと体の向きを変えたから、私の手はむなしく空を切る。
誠也くんは数珠を巻き直して、今にも襲い掛かりそうな姿勢だ。
『俺のこと消したら困るのそっちやけどええん？』
「あ゛？」
『俺このへんの土地神様やもん。俺が消えたらいろんなもんのバランス崩れてまうで』
余裕の笑みを浮かべながらそう言う神様に、誠也くんが舌打ちする。
『それに、俺がついてたらAちゃんに変なもん憑かへんし』
「え！そうなん？」
『うん！俺強いもん！守ったげるよ〜』
誠也くんと話す時の挑発的な視線とは打って変わって、私に向けられる笑顔は人懐っこくてちょっとかわいい。
神様が一個人を贔屓して良いのかなとは思うけど、守ってもらえるならこんなに心強いことは無い。
「誠也くん、どうしよ」
「…神様やったら消されへんし、とりあえず正体確かめてからやな」
「うん、わかった」
『わーい』
交渉成立といった所か。
やっと地面に下ろされると、すぐに誠也くんが駆け寄ってきて、肩や背中をパンパン払うから、笑ってしまった。
「大丈夫やで」
「これで正体狐やったらめちゃくちゃシバく」
『ほんまに神様やもん！』
「はいはい」
『めっちゃ適当やん』
「しゃべりが軽すぎんねん」
「それは思った」
『Aちゃんまで！』
かくして、神様憑きの奇妙な生活が始まるわけだが、この時の私はまだ神様のことをなめていた。
神様は人智の及ばぬ存在だからこそ神様と呼ばれるわけで……そんな当たり前のことを、これから嫌というほど思い知ることになる。
.
221202
めちゃくちゃ続きそうな感じで終わってしまった！
唐突に和風ファンタジーな話が書きたくなって、短編で遊ぶつもりが、いろいろ調べていたら、長編書けるだけのネタが集まってしまったやつ。
需要あるならいつか長編にしたいなぁ。
何故かリチャくんの設定だけはめちゃくちゃ細かく決まってます(笑)
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黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
