・ ページ35
4/5
「で、暇やな〜思って散歩してたら、いっぱい"連れてる"子がおって、それも生まれた時から」
「それがAなんか」
「私、生まれた時から憑かれてたん？」
「せやで。まぁでも分かるよ。あんなちゃんと見てくれる子おったら皆嬉しがって憑いてっちゃうわ」
言いながら神様に肩をギュッと掴まれたような気がした。
誠也くんが私の手を強めに握り直したから、やっぱり掴まれていたかな。
それより、今おかしなことを言われた。
「あの…私感じ取れはするけど、姿は見えへんよ？」
「あ、そやった！さすがに覚えてへんか〜」
「何？」
「Aちゃん、赤ちゃんの時は見えてたんやで」
「そうなん！？」
「うん。けど、途中から怖がって泣くようになってもて、かわいそうやし見えんようにしたげてたねん」
「へ？神様のせいやったん？」
「おかげって言うてほしいなぁ」
「あ、ごめん」
「あははっ、ええよ。ほな解いたげるなぁ」
「え、ちょっ、心の準備がっ！」
目の前になにかの紋様が浮かぶ。
一列に並んだ白黒のそれらは、チカチカと点滅していて、私は思わずまばたきを繰り返した。
一度だけ強く光ったかと思うと、次の瞬間、紋様は燃えカスのように散り散りになって消えていった。
「A、大丈夫か？」
「う、ん。何もない……わっ！」
握っていた手が離れて、足が宙に浮いた。
誠也くんが私の名前を叫んでいる。
右頬に触れる布の感触と、目に飛び込んできた鮮やかな緑色。
顔を上げると、私を見下ろして柔らかく細められた目と視線がかち合った。
「かみ、さま？」
「うん！神様やで〜」
びっくりした。
日本史で習った水干だっけ？そんな感じの服を着ていて見た目だけは神様っぽいけど、
「ひっさしぶりにAちゃんと目合った！嬉しい！かわいい！」
にこにこ笑顔で私を見つめてくるこのテンションの高い人が神様だなんて。
なんというか、厳かさが足りない。
「え、と」
「おまえ神様かもしらんけど、とりあえずAのこと下ろせ！」
誠也くんの声がだいぶ下から聞こえると思ったら、私の方が空中に浮いていた。正しくは、空中に浮いている神様にお姫様抱っこされていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 448人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
