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お姉ちゃんも良規くんもずるい。
私の始まりは知らんぷりして、自分たちだけで決着して、決まったことだけ告げられても私は受け入れるしかないじゃないか。
あの時、勝手に変えられてしまった関係を受け入れなければ良かった。名前で呼んだら、と言われても、ずっと正門先輩と呼び続ければ良かった。良規くんはお姉ちゃんの彼氏だったけど、正門先輩はずっと私の先輩なのに。
「絶対に？」
言うべきことを言い切って安堵している良規くんに、そのまま手を振ってあげられるほど、聞き分け良くはなれなかった。
「もう絶対に会えへん？」
いつものように頷かなかった私に、良規くんは困った顔をしている。
窓の外を走るバイクのはち切れそうなエンジン音が、掛け時計の正確な秒針の音が、耳の奥でぶつかり合う。
このまま何時間でも経てばいいと思った。
けど現実はそうもいかなくて、沈黙を破るべく、良規くんの唇が薄く開いた。
「できるだけ絶対にしようと思てるよ」
良規くんはそう話す間、ずっと私の方を見ていたけれど、本当は私を通り越してお姉ちゃんを見つめていたのだと思う。
良規くんの黒目がうっすらと涙で覆われていくのを見て、今度は私が困る番だった。
「ごめん。なっさけないとこ見せて」
「大丈夫」
恐る恐る背中をさすったら、良規くんは下唇を噛んで私を見つめた。
「大丈夫」
何が大丈夫なのかは分からないけど、そう言わないと良規くんが泣けないと思って、私は何度も繰り返した。
「大丈夫」
俯いた良規くんは「ありがとう」と言って少しだけ背中を震わせた後、お猪口も溢れない量の涙だけこぼした。
お姉ちゃんはこの人の涙を何度見ることができたのだろう。
こんなに強い人を泣かせるくらいに愛されて、どうして別れようと思ったのだろう。
こんな結末になるくらいなら、どうして、私の……。
手のひらから伝わる良規くんの体温に、こみ上げてくる涙を我慢しながら私は「ごめんなさい」と言った。
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黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
