・ ページ14
4/5
その後、少しだけ店じまいをお手伝いして、裏口から店を出た。駐車場までの道で、少し前を歩くお兄さんの汗で湿った金髪が色っぽいなと思ったことは、私だけの秘密だ。
ぽつんと一台残った車の前まで行くと、当たり前のように助手席側のドアが開けられた。
「知らん男の助手席もあれやし、せめて名前、教えててもいいです？」
「あ、はい」
「正門良規です」
「まさかどさん？」
「はい、正門です」
「AAです」
「Aさん」
う゛。初めっから名前呼びとかドギマギする。
「Aちゃん？」
ちゃん付けも距離が近くてソワソワする。
「A？」
「へ！？」
「あ、反応した」
「よ、呼び捨て、ですか？」
「さん付けしても返事してくれへんかったやないですか〜」
「それは、びっくりしてて」
「苗字の方が良かったです？」
「……ご自由に」
「あっはっはっ」
歯切れ悪く答える私を見た正門さんは、豪快に笑った後、じゃあAちゃんで、とアッサリちゃん呼びに決めてしまった。
助手席の荷物をポイポイと後部座席に放る背中を見ながら、なんとなくイーブンじゃ無い気がして、じゃあ良規くんで、と言い返してみた。
良規くんは首だけでこっちを振り返ると、ほんなら敬語も無しで、と笑った。見上げられているのに、良規くんの方が余裕があって変な感じだ。
「お待たせ。席どうぞ」
「ありがとうござ、っいません」
「それやと意味まで変わってもてるから！」
「〜〜〜っ、ありがとう！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 448人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
