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講堂の真ん中まで来ると、誠也くんは腕に数珠を絡め、目を閉じて深呼吸を繰り返した。
意味があるかは分からないけど、呼吸を合わせた方が良い気がして、私も一緒に深呼吸をする。
誠也くんがブツブツと念仏を唱え始めると、途端にズシン、と肩の重みが増えた。
「う、わっ！！」
「A！……！！」
後ろから羽交い締めにされたような感触が全身を覆う。
それから、耳の後ろから何かの声。よく聞き取れないけど、なんだろ、名前を呼ばれた気がする。
無意識に下を向いていた首を上げて誠也くんを見ると、明らかにいつもと様子が違う。
「え、何何何」
「まじか…」
「えぇ、ビビらせんといてよ」
「人間や」
「にんげん？！」
犬、猫、狐、変わり種ではカマキリに憑かれたこともあるけど、人間は初めてだ。
誠也くんの目線が私の頭の上ら辺をさまよう。
『…ん、……じょう…』
「へ？」
『大丈夫…ら……て』
「大丈夫？」
「Aも聞き取れるん？」
「あ、うん」
これも初めて。
今までは声なんかほとんど聞こえなかったのに。
「こいつ、狐が化けてるんとちゃうんか」
『失礼やなぁ』
チューニングが合ったみたいに、さっきまで途切れ途切れだった声が、くっきりと輪郭を持って耳に届いた。
『狐みたいな獣と一緒にせんといて』
「ほな何やねんお前」
誠也くんは、こういうモノとも普通に喋る。
すぐに襲って来ないと分かって、祓う前に正体を探りたいのかもしれない。けど……
「ごめん」
「ん？」
私が限界。
頭のすぐ横で聞こえる得体の知れないモノの声に、体が情けなく震えて、我慢できずに手を伸ばした。
「せ、やくん」
「大丈夫やから」
誠也くんが私の手を握ろうとした瞬間、バチっと静電気のような音がした。
『わっ！痛っ！』
「ひゃっ！」
「あ、効くんか」
『いったぁ！ちょっと！一旦それ外してや！』
「Aになんもしいひんやろな？」
『当たり前やん！』
声の主は思いの外、人間味のあるリアクションをする。
数珠を外した誠也くんが私の手を握ると『あぁぁまた触ってる！』と非難めいた声がして、それを聞いた誠也くんは眉間にしわを寄せて私の後ろっ側を睨みつけた。
「ほんま何やねんこいつ」
誠也くんが呆れた声でそう言うと、返ってきたのは意外な答えだった。
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黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
