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花「おーい、蛍。卵を5個買ってきておくれ」
ワノ国。
煌びやかな街の、端くれ。
ここは、遊郭。
一度門をくぐったら、身請けされるまで一度たりとも門の外には出られない。
遊郭内には、沢山の遊郭と町がある。
そんな遊郭内の、少し有名な「曙楼」。
「はーい！わかりんした。いつものお店でいいでありんすか？」
花「そうそう、いつもんとこで」
私は、曙楼の遊女。
この見世の、花魁の禿。
ひと月後、新造出しという客へのお披露目をして、
私は見習いから、正式に“遊女”として認められる。
そこから、自分で客を取れるようになるまでは2年くらい。
幸運なことに、私は振袖新造と言って、次の花魁候補にしてもらってる。
わずか、16歳。
私の将来は、もう遊女になるしか残されていない。
「おじさん！卵5個くんなまし」
「おぉ、蛍ちゃん。2つおまけしたろう」
「いいでありんすか？ありがとうございんす！」
これでいい。
この生き方しかないのだから、それ以外を望んではいけないと思っていた。
ましてや門の外へ出るなんて…
望んではいけないのだと。
ぼうっと空を眺めながら、卵を持ち歩いていると、ドン！と肩がぶつかった。
ゾ「あ、悪ぃ」
「あっ」
ガシャン！と音を立てて落ちたのは、卵。
嘘…。
姉さんのお金で買った卵なのに…！
どうしよう、と思ったけど、腰に刀を下げているから…
この人はきっと武士だろう。
「すみません…っ！お召し物は大丈夫でありんすか！？」
逆らったら、遊女なんて一太刀で殺される。
それに、遊女が死んだって誰も悲しんでやくれない。
ここはどうか穏便に…。
ゾ「…いや、卵すまねぇな。新しいのを買って返す」
「…へ？」
ゾ「この国は食べ物が足りてねぇんだろ。すまねぇな、無駄にしちまって」
その人は、割れてしまった卵の殻を拾って歩き出す。
新しいものを買ってくれるなんて…
武士の方で、遊女を下に見ない方は初めて見た。
「卵屋は右手でござりんす」
ゾ「あ？こっちか…」
「そちらは左手でありんす！」
右手と左手もわからないのかしら、この方。
でも、助かった…。
卵を落としたなんて言ったら、姉さんに怒られてしまう。
「ありがとうございんす…」
ゾ「いや、こちらこそ悪かった」
不思議な頭に、不思議な武士さん。
これが、私の運命を変える出会いだった。
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おはよ - 面白いです！更新してくれると嬉しいです (2023年3月23日 9時) (
レス) @page6 id: d4f6705fb9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずの(プロフ) - 和恋さん» 和恋さん初コメありがとうございます(^^)これからも更新頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2021年8月31日 18時) (レス) id: b4c9c386da (このIDを非表示/違反報告)
和恋(プロフ) - めっちゃ好きです！更新待ってます！ (2021年8月26日 21時) (レス) id: 736c16840a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チバ | 作成日時：2021年8月25日 16時
