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「…お久しぶりです、お母様」
「…帰ってこんかと思うたわ」
開口一番、嫌味を言う母。
…別にこんなの、屁でもないけど。
「お相手は何時頃いらっしゃるんですか？」
客間の、母の隣の座布団に正座をして座る。
「もうすぐ着くそうです。…貴方、それまでにその喋り方どうにかしなさい」
「喋り方？」
「標準語やと、帰ってきてへんのがバレバレでしょう。お相手は呪術の本場、京都の方ですよ」
やっぱり、京都の人なんだ…。
そんな気は、していたけど。
「……はい、わかりました」
もう長いこと標準語を喋っているから、関西のイントネーションに少しの違和感。
それ以上何も喋らない、口を開かない母。
シーン、と静まり返る部屋が、窮屈で仕方なくて。
そんな時に、ふと…
先生の言葉を思い出す。
『辛くなったら、いつでも電話してね』
…なんて、優しい言葉かけられてさ。
満更でもないと思ってしまったんだ。
嬉しくなって、胸がぎゅっとなった。
今はただ…
先生への罪悪感と、
…虚しさが、募る。
そういえば、この間先生は何を言いかけてたんだろう。
この週末、予定があったのかな。
私が遮っちゃったから、聞けなかったや。
帰ったら、聞いてみよう。
そう思っていると、少し離れたところから廊下を歩く足音が聞こえた。
「…立ちなさい」
母にそう言われ、私は慣れない着物で立ち上がる。
どんな方なんだろう。
嫌な方だったら、どうしよう。
心臓が、バクバクと鳴る。
頭の中では、明ちゃんの
「守りますよ」って言葉がループして。
握る手に、汗が滲んだ。
ガラリ、と引き戸が開く。
その瞬間、光が射した気がした。
「…初めまして、よろしゅうお願いします」
ゆったりとした喋り方。
少し高めの、でも落ち着いた声。
背はそんなに高くなくて、
微笑んだ目尻によるシワが、優しさを醸し出す。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
「こちらこそ、お寒い中御足労頂きありがとうございます。」
相手の母が頭を下げると、うちの母も深々と頭を下げた。
私も、軽く会釈をすると、彼はそれを見てまた微笑む。
優しくて、穏やかな雰囲気と…
お日様のような微笑みは、私の心を暖かくしてみせた。
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ゆずの(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして！コメントありがとうございます。お返事を出してしまうとネタバレになってしまう…と思い、最終回を迎えるまでお返事出来ずにすみません(;_;)お望みの展開では無かったことと思いますが、コメントと応援、ありがとうございました！ (2022年4月24日 22時) (
レス) @page39 id: 2bc9dda23a (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月16日 4時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずの(プロフ) - みさとさん» 初めまして、コメントありがとうございます！そんな風に言っていただけて光栄です…！ただ、色んな恋愛はしてきてませんよ！完全なる耳年増です(笑)これからもご愛読のほど、よろしくお願いします！ (2021年3月25日 20時) (レス) id: b4c9c386da (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - ゆずのさん» めっちゃバッサリですね笑 でも分かります。ちょっと…ねぇ笑 ってなりますよね！！これからも楽しみにしてます(o^^o) (2021年3月25日 19時) (レス) id: 23e9cd344d (このIDを非表示/違反報告)
みさと - 言葉一つ一つがエモすぎます…。作品の雰囲気というか、世界観がとても独特であっという間に惹かれました。これは色んな恋愛を経験してないと書けない話ですね…！すごく深く、考えさせられる作品だなと思います。ここまで惹かれる作品に出会ったのは初めてです。 (2021年3月25日 19時) (レス) id: 2172d07eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずの x他1人 | 作成日時：2021年3月25日 1時
