アイドルとアイドル Kota.Y

tears ページ37

インターホンが鳴ってから
光が部屋に入ってくる



「おかえり」


光「…ん」


思ったより早めに帰ってきたから
上手くいかなかったのかと思ったけど
表情を見ればそうではなさそう


「上手くいった？」



光「…おかげさまで。ありがとう

薮、知ってたんだね…」



「うん。黙っててごめん」



光「いや…うん…

これは…俺がそうなっても言わない…」



「まぁ…そうだな

幸せになってな」



光「うん…ありがとう

ほんとに…いつから知ってたの？」


「…ナンパされた時」


光「え…そんなに前から？」


「直接聞いたのはもっと後だけど。あの時には確信してたかな」


光「じゃあ。薮はそれより前から？」


本当はAちゃんが好きと言うより
光を取られたくなかっただけなんだけど…
まさかそんな事は言えず


「いや…
まぁ…光に恋するAちゃんが可愛くて？」


光「っ…何それ…」


吹き出した光につられて笑う


「ふふっ…前にさ、抜け駆けしないって言ったじゃん？」


光「うん」


「まぁ、正しくは"できない"って感じ？

何て言うか…俺答え知ってたから

2人の事、どっちも大事で

本当にどっちも応援してた

だから…本当に…幸せになってな」



話しながら涙がこぼれそうになる
本当に失恋したんだと実感する

それでも悲しい気持ちはあまりないし
話している言葉は本音だった


「相談ならいつでものるからさ」




光「ありがとう。幸せにします」


まただ。
光のこういう所が好きなんだけど
ちゃんと言っておかないと



「…違う。光も、幸せになってな。」



光「ありがとう…」


光の目から涙がこぼれた

"俺の言葉"を受け取ってくれたんだとホッとした気持ちになる


別にこの関係がなくなるわけじゃない
この気持ちに気付く前の自分に戻るだけ…

smile→←next

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す