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そんな中Aだけがほわほわとした空気感を醸し出している。
酔っている時の彼女はある意味最強で最高だ。
ふ、と何かを思い出した彼女はその場から立ち上がり動き出す。
何をするのかと思いながら彼女を目で追う面々。
とある人物の所まで来ると、その人物の隣に腰を下ろしたA。
留三郎『ど、どうかしたか?A』
「あのね、留三郎くんにお願いがあって来たの」
唐突に自分の元に来た彼女に戸惑いを隠せない留三郎は何処かぎこちない態度をとってしまう。
しかしそんな留三郎には気にも留めず隣に腰を下ろしたAは、懐から間切に貸していた手ぬぐいとは別の手ぬぐいを取り出し、畳んであったそれをゆっくりと広げていく。
中から出てきたのは昼間に義丸から貰った真珠だった。
「この真珠を入れる為の小さな巾着袋を作って欲しいの。出来れば首からかけれるように紐も通してもらえると嬉しいな、って。手先が器用な留三郎くんに頼もうって決めてたからお願いをしに来たんだけど…どうかな?」
彼女の言葉から、酔う前から自分に頼る気でいた事が読み取れた留三郎は思わず目を見開く。
それと同時に彼女から頼られた事に嬉しさを隠しきれず頬が緩んでしまい、それを隠すように口元に手を当てた。
留三郎『分かった…学園に帰ったら直ぐに作ってやる』
「ほんとっ?嬉しい、ありがとう!留三郎くんは本当に頼りになるね。だーいすきっ」
留三郎『ん"っ!!!!』
嬉しそうに笑いながら自分を見つめ大好きなどと言う彼女に、唇を噛み締め可愛い!!!!という感情を押し殺す留三郎。
「私が足首を捻挫した時も直ぐに私専用の松葉杖を作ってくれたし、手ぬぐいに私の名前を縫ってくれたし、私が荷物を持っていると軽い重い関係なく持ってくれるし、敵に襲われた時も自分の事よりも私の事を優先してくれるし、それに…」
留三郎『A…!!も、もう充分だ…それ以上言うのはやめてくれ…』
急な褒め殺しを始めるA。
次から次へと留三郎がどれだけ頼りになるかを熱弁していると、留三郎が片手を彼女の顔の前に上げてやめてくれと懇願した。
嬉しさと恥ずかしさが入り交じった表情のまま頬をほんのりと紅く色付かせる彼にAは首を傾げる。
そして彼の上げていた手に自らの手を重ね下へ下ろすと、彼の額に反対の手を伸ばしそっと触れた。
「留三郎くん、顔が赤いけど体調悪いの?」
留三郎『だ、いじょうぶだ…(落ち着け、俺。忍びたるもの常に冷静さを失うな)』
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にんじん(プロフ) - このシリーズ凄く好きです! 毎回キュンキュンしながら読んでます笑 お忙しいと思いますが体調に気をつけて更新頑張ってください、いつでも待ってます (4月16日 1時) (レス) id: 418de6f4d8 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - Lynnさん» 本当に嬉しいお言葉ありがとうございます…!!コメント頂けるだけで励みになります(;;)これからもよろしくお願いいたします!! (1月28日 20時) (レス) @page34 id: 56ce977426 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - りとさん» 新しく更新された27 28話見ました、2つとも面白かったですよ。はい、是非これからもまたいつか戸部様が出る事をお願いします! (1月23日 21時) (レス) @page29 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - Lynnさん» きゃー!!!!ありがとうございます!!!!もうどうにかして戸部先生を出さなければと考えていたところこういうさり気ない気遣い出来そうなのって戸部先生では!?と思い出させて頂きました!!1度出させて頂いたのでこれからどんどん出させて頂きます!! (1月23日 21時) (レス) @page29 id: 56ce977426 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - りとさん» 今、23 24話見ました。最推しの戸部様に「酒を飲みすぎると後が辛くなる、だから後に水を飲め」て言って夢主(自分)に気を遣うとこ、非常に良かったですし、大好きです。戸部様を出してくれてありがとうございます! (1月13日 23時) (レス) @page25 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りっか | 作成日時:2023年8月27日 21時