【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その17(夏編)

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滝夜叉丸『それではこの私が、Aさんのお手を取り輝く海へ誘うと致しましょう』

三木ヱ門『いやいやいやいやいやいやいやいや！！！！滝夜叉丸なんかと手を繋いで海へ入ると水に濡れる自分に自惚れてAさんが溺れかねませんからここは私と！』

滝夜叉丸『何を言う！普段火器ばかりと散歩しているお前がAさんのか弱いお手を握ったらどうなることか！！へし折れてしまうだろう！！やはりここは私が！』

目の前でやいやいと言い争いを始めた2人を海に入るだけなのに何でこんなに言い争いが出来るのだろうか、と自分で言うのもなんだが冷静に思っていると肩をちょんちょんと指で触れられる感覚がしそちらを振り返る。

勘右衛門『お手をどうぞ、お姫様』

そう言って軽く笑みを浮かべながら片手を差し出して来る勘右衛門。
その姿に思わず「ふふっ」と笑ってしまった。

「どうもありがとう、王子様」

勘右衛門のノリに合わせて私も彼の手の上に自分の手を乗せる。
優しく握られた手から伝わる彼の体温に少しだけ心臓が跳ねた。

「勘右衛門の手、何だか温かいね？暑さにやられちゃったとか？大丈夫？」

それを誤魔化すように目線を彼へと向けながら問いかけると、一瞬だけ視界に捉えた彼の表情は驚きを含んだ物だった。しかし、私と目が合うと直ぐにニコッと笑ってみせる。

勘右衛門『ん？いいや、そんなことないよ(Aからまさか王子様なんて言われるとは思わなかったから少しだけ驚いたなんて言える訳ないよなぁ)』

滝夜叉丸・三木ヱ門『尾浜先輩…抜け駆けしましたね』

そんな私たちの様子を見て目の前で言い争いをしていた2人が恨めしそうに勘右衛門を見ていた。

勘右衛門『お前たち2人がいつまで経っても言い争いをやめないからだろ〜取ったもん勝ちさ』

もしかして2人の言い争いを止めてくれたのかな。
『あはは』と笑う勘右衛門を見ていると、私の視線に気付いた彼は私の手をきゅっと軽く力を入れて握り締める。

勘右衛門『しっかり握っておかないとAはおっちょこちょいだから転ぶもんな〜』

「おっちょこちょ…ぐ、ぅ…ひ、否定出来ないのが悔しい〜…！」

意地悪そうに笑う勘右衛門に何かを言い返したかったが正論を言われてぐうの音も出なかった。
でも私言うほどおっちょこちょいじゃないと思うけど？！

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