【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その17(夏編)

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彼女の"大好き"という発言に誰もが耳を疑い目を見開いた。その場がしん、と静まり返る。
普段、そういう事を軽々しく口にしないと分かっているから尚更だ。
しかも好きではなく大好きという言葉。

「ここのお団子美味しいよね〜！私も大好き！」
「犬って本当に可愛い…私動物の中で犬が1番大好きなんだよねぇ」
「食堂のおばちゃんの作るご飯が大好きです！」

などなど、人に向ける言葉以外では何度か聞いたことがある"大好き"。
また、たまに誰かを励ましたりする時に"好きだよ"とは言うものの"大好き"と聞いたことは殆どない。
彼女の"大好き"という言葉が如何に貴重かお分かり頂けた所で、本題に戻そう。

滝夜叉丸『ふむ…昼間遊んだ時の海水がまだ耳の中に入っているようだ。空耳が聞こえた』

三木ヱ門『奇遇だな、滝夜叉丸。私もだ』

三郎『…これは夢か？』

八左ヱ門『いでででででででっ！！！！三郎〜！人の顔で夢かどうか確かめるなよ〜！』

彼らの反応は至極当然。
しかし、彼らよりも1番驚愕しているのは、大好きと言われた戸部新左衛門、本人である。
口をあんぐりと開け放ち、目をこれでもかと見開き彼女を凝視している。
そして少し顔を頬をほんのりと赤らめてはいるものの全体的に青ざめながら『ゆらり…』と呟き、ユラユラと体を揺らし扉の方へ向かって行く。
そして盛大に扉に頭をぶつけながら外へと出て行った。

「戸部先生…どうかさなったのかな…顔色が悪そうに見えたけど…」

その様子を見た彼女はとても心配そうに戸部先生の後ろ姿を見つめていた。
すると今度は別の人物が彼女の横に現れどっかりと座り込んだ。

喜八郎『Aさん』

それはそれは不愉快そうに顔を顰め、彼女の顔にズイッと詰め寄る喜八郎。
しかし、そんな彼にも何のその。キョトンとした顔のまま首を傾げた彼女に喜八郎は、盛大な溜め息を吐き出す。

喜八郎『Aさんは、戸部先生がお好きだったんですね。初耳です』

「ん？うん、そうね」

喜八郎『…戸部先生みたいな男性がタイプだったなら早く言って欲しかったんですけど』

「…喜八郎、拗ねてるの？」

口を尖らせてブツブツと何かを言葉にしている喜八郎にAは思ったことをそのまま口にした後、自身の片手を彼の頬へスルリと滑らせる。そして親指で頬を優しく撫でながら目元を緩めた。

「私、喜八郎の素直に感情を表現出来るところ、大好きよ」

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