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仙蔵『…………』
文次郎『仙蔵、どうした?何か気になることでもあるのか?』
Aの方をじっと見つめ何かを考えている仙蔵に不思議そうに声を掛けた文次郎。
仙蔵『ん?あぁ、いや…Aが少し気になってな』
文次郎『さっき呑んでいた酒か?』
仙蔵『ほう…それに気付くとは文次郎にしては珍しいな』
文次郎『おま…俺にしてはとはどういう意味だ』
鍛錬脳筋男が一人の女性のことに対して気付くのは後にも先にも彼女以外居ないであろう。
仙蔵はそれは物珍しそうに文次郎を見ては軽く笑う。
伊作『それは僕も気になっていたんだ。いくら弱いお酒でも初めて呑むならいろいろと心配だし…空きっ腹に流し込んだ訳ではないから大丈夫だとは思うんだけど…顔色も今のところ何ら問題無さそうだし、それに…』
留三郎『伊作、落ち着け。何かあれば直ぐに行ってやれば良いだけだ。それに近くには先生方も居らっしゃるから、そこまで心配しなくても大丈夫だろ』
小平太『そうだぞ、伊作。私もさっき少し呑んでみたが全然平気だった!』
留三郎『お前とAを一緒にするな』
長次『…本当に弱い酒を第三協栄丸さんが持っていたなら、な』
長次が放った言葉により6年生の顔付きが変わる。
よく考えてみれば、雰囲気で酔えるくらいの第三協栄丸が手に持っていた酒は本当に弱い酒だったのか。あれだけベロベロになっていれば、違う酒を手にしていてもおかしくはない。
しかし、仮に強い酒ならば彼女に少なからず異変が起きているはずだ。もしくは、彼女が相当酒に強いと言うのなら話は別だが。
そんな彼らの心配を他所にAはとても楽しそうにケラケラと笑っている。
もちろん手には第三協栄丸に貰った酒が入った盃を持っていた。
ちびちび呑んでは食べ物を口にしての繰り返し。
戸部新左衛門 以下 戸部
『Aくん、慣れない酒を呑みすぎると後が辛くなる。程々にして後は水を』
彼女の背後から水の入った湯呑みを手渡す戸部先生。
声を掛けられた彼女はゆっくりと後ろを振り向き、湯呑みを落とさないように両手で受け取り天使のように優しくふんわりと笑って見せた。
「ありがとうございます、戸部先生。戸部先生のそういうお気遣いが出来るところ、私とても大好きです」
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にんじん(プロフ) - このシリーズ凄く好きです! 毎回キュンキュンしながら読んでます笑 お忙しいと思いますが体調に気をつけて更新頑張ってください、いつでも待ってます (4月16日 1時) (レス) id: 418de6f4d8 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - Lynnさん» 本当に嬉しいお言葉ありがとうございます…!!コメント頂けるだけで励みになります(;;)これからもよろしくお願いいたします!! (1月28日 20時) (レス) @page34 id: 56ce977426 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - りとさん» 新しく更新された27 28話見ました、2つとも面白かったですよ。はい、是非これからもまたいつか戸部様が出る事をお願いします! (1月23日 21時) (レス) @page29 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - Lynnさん» きゃー!!!!ありがとうございます!!!!もうどうにかして戸部先生を出さなければと考えていたところこういうさり気ない気遣い出来そうなのって戸部先生では!?と思い出させて頂きました!!1度出させて頂いたのでこれからどんどん出させて頂きます!! (1月23日 21時) (レス) @page29 id: 56ce977426 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - りとさん» 今、23 24話見ました。最推しの戸部様に「酒を飲みすぎると後が辛くなる、だから後に水を飲め」て言って夢主(自分)に気を遣うとこ、非常に良かったですし、大好きです。戸部様を出してくれてありがとうございます! (1月13日 23時) (レス) @page25 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りっか | 作成日時:2023年8月27日 21時