【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その17(夏編)

17-19 ページ20

鍋を食べながらチラリと先生方の方を見る。盃を手に兵庫水軍のみなさんや上級生たちと談笑していた。
ほぇ〜…先生方がお酒呑んでるの初めて見たかも。よく見たら6年生も呑んでるな。ま、この時代だから15歳でも呑めるのか。お酌してあげたがいいかな…いつもお世話になってるし、お酌して差し上げよう。

そう思うと、食べる手を止めて床に皿と箸を置く。
そしてそのままその場から立ち上がり先生方がいらっしゃる場まで向かい、後ろから声を掛ける。

「第三協栄丸さん、お酒おつぎします」

由良四郎『あ、お頭は酒が呑めないので絶対に呑ませないでください』

第三協栄丸さんが答えるより先に由良四郎さんが要らないと片手を横に振る。

「そうなんですか？それは失礼しました…」

え、じゃあ何でそんなに顔真っ赤かになってるんだろ。
第三協栄丸さんの茹で蛸の様な真っ赤っかな顔に思わず眉を顰めてしまった。
もしかして雰囲気で酔えるタイプ？？？？

由良四郎『我々は構いませんので、先生方におつぎして差し上げてください』

「分かりました。では、先に先生方に…学園長先生、どうぞ」

酒樽から柄杓でお酒を掬い、それを零さないように学園長に向かって声をかける。
最年長だし、何だかんだ言っても学園長だし、ここは1番に。
すると学園長は片手を挙げてそれを制する。

学園長『いや、ワシは結構。他の先生方についで差し上げなさい』

「あ、そうですか？」

もうお年だし、さすがにお酒は呑めないのかな？

学園長『ワシはまだまだ現役じゃ』

「は！？え、なんっ…ん"ん"っ。では、山田先生、どうぞ」

学園長の言葉にギョッとしてしまうが、ここで反応してしまえば認めてしまうも同然。慌てて咳払いをした後に山田先生に向かってお酒を進める。

山田『ありがとう、Aくん』

山田先生の持つ盃にお酒を零さないようそっと注いでいく。その様子を山田先生は目元を細め柔らかく笑って見つめていた。

山田『(娘にお酌してもらっているみたいだな…)』

「…？山田先生、どうかされました？」

山田『あぁ、いや…何でもない』

17-20→←17-18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す