【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その17(夏編)

17-13 ページ14

仙蔵『くそ…先を越されたか』

喜八郎『あ〜あ、滝夜叉丸が鈍臭いから先を越されちゃったじゃないか』

滝夜叉丸『私のせいにするな！』

伊作『まぁ、兵庫水軍のみなさんはここの海を熟知しているから仕方ないというか…』

留三郎『お、おい、伊作…お前尻にウニが刺さってるぞ…』

伊作『え？！ど、どうりで何だかチクチクするなぁと…あいた？！今度は手に…！？』

何か凄い残念そうに見えるのは私だけ？
真珠が見たくて探していたんじゃないのかな。

義丸『A』

みんなの反応に首を傾げていると、横から声をかけられたのでそちらを振り向く。
そこには義丸さんが私を見下ろし立っていた。

「何ですか？」

義丸『これ、やるよ』

そう言って私の片手を取り、手のひらに何かを乗せた彼。
驚く程に小さい何かを私は落とさぬよう握り締める。まさか…、と思い恐る恐る指を開いて中身を確認した。そこには、小さいけれど白く輝き存在感のある真珠があった。先程彼が採った物だ。

「こ、こんな高価な物頂けません…！いくら義丸さんが採った物でもさすがに…」

まるでそこら辺で採れた花を渡すようにサラッと渡された真珠に受け取れないと首を振る。
購入した物ではないが、高価だと決まっている物を何もなしに受け取るなんて私には無理だ。

義丸『俺みたいな男が持ってるより、Aが持ってる方が断然良いだろ。それに俺は別にそういうのに興味無いからさ。受け取って貰えると嬉しい。…駄目か？』

…狡い。この人は本当に狡い。私が断れない言い方を知ってる。
目を細め眉を少しだけ八の字に下げつつ、私の顔を覗き込むように問いかける彼に嫌なんて言えるわけがない。

そりゃ、天然真珠なんて人生で貰えるか貰えないかと言ったら貰えない確率の方が高いし…何より私のために採ってくれたのかな、と考えると素直に嬉しい部分もある。自意識過剰かもしれないけど。
ここは素直に受け取っておくのが懸命かな。

そう思うと目の前にいる義丸さんを見上げた。

「…お言葉に甘えて頂きます。ありがとうございます」

義丸『どういたしまして』

受け取ることを選んだ私を見て嬉しそうに微笑む彼。

17-14→←17-12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す