【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その13(夏編)

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膝を見ると少し擦りむき赤くなっている。私は荷物から伊作くんに貰った塗り薬と包帯を取り出し女の子の膝を手当してあげた。そしてお馴染みのおまじないをかけてあげる。

「痛いの痛いのお空の彼方に飛んでいけ〜！はい、これでもう大丈夫！どう？痛くなくなった？」

女の子『うんっ！ありがとう、お姉ちゃん！』

「どういたしまして。ちゃんとお礼が言えるなんて偉いね〜。一人で立てる？手を貸してあげようか？」

女の子『ううん、大丈夫！』

「そっかそっか！強いね〜！お姉ちゃんだったら痛くて立てなくて泣いちゃうのに！」

女の子『うっそだ〜！』

「ほんとだよ〜だからお嬢ちゃんは強いよ」

女の子は照れたように『へへっ』と笑ってくれた。
良かった、笑ってくれて。ちらりと隣にいる八左ヱ門を見ると、口を少し開けて私を見つめていた。どうしたのかと聞く前に八左ヱ門の腕に抱えられていた子犬が女の子目掛けて飛びついたあと、女の子の頬をペロペロと舐めていた。

女の子『ハチ！心配したんだからぁ〜…！』

ハチ『ワンワンッ！』

母親『何からお礼を申し上げて良いか…本当にありがとうごさいます』

後から駆けてきた女の子の母親が私たちに深々と頭を下げるので「当たり前のことをしただけです！」と言って両手を左右に振った。

そしてハチを抱えて嬉しそうに私たちに手を振り別れを告げる女の子にこちらも笑顔で手を振り別れた。

「良かったね、飼い主が見つかって…それよりあの子犬の名前って"ハチ"だったんだ…ぶふっ」

八左ヱ門『…Aが今とんでもなく失礼なことを考えていることだけは分かった』

「ご、ごめんって〜…だってこんな偶然あるのかと思ったらちょっとおかしくなって…」

八左ヱ門『Aだって…あー、いや、なんでもない』

八左ヱ門が何か言いかけたことに対して疑問を抱いた私は首を傾げつつ彼に問いかける。

「え？何？気になるから言ってよ」

そう言いながら彼の横腹を肘で小突く。しかしそれでもそっぽを向いて頬を掻きながら言葉を濁している八左ヱ門。

八左ヱ門『いや〜…ほ、ほら！早く帰らないと夕食に間に合わなくなるぞ！急げ〜！』

「あ！！逃げた！！」

八左ヱ門『(女の子に接している時のAが凄く優しい表情をしてて良い母親になるだろうなって言ったらどう思うかな…先の未来、もし俺との子が出来たら…って飛躍し過ぎだろ、俺！)』

妄想が暴走しかける竹谷八左ヱ門なのでした。

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