【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その11(夏編)

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あの後、私と吉野先生は事務室で仕事をしていたのだが、急な出張が入られたとの事で暫く学園を留守にするらしい。

出張を告げられて学園を出て行くまでに『事務の仕事は二の次で良いです。まずは自分の身の安全を第一に考えること。何かあったら他の先生に直ぐに頼りなさい。私も直ぐに帰ってくる努力はします』と耳にタコが出来る程言い聞かされた。

暗殺者でも来るんか？ってくらいの警戒ようで私も変に身構えてしまう。

「えー…怖いなぁ…ゴリラみたいな人が来たらどうしよう」

一人不安になっている中、急に事務室の扉を開けて入って来たのは見慣れない男の人。
私と男の人は目が合うと、暫くの間目を瞬かせながら見つめ合う。

誰だよ、なんて口から出そうだったがそれを飲み込むとゆっくりと口を開いた。

「あの…どなたですか？」

出茂鹿之介 以下 鹿之介
『それはこっちの台詞だ。お前こそ誰だ』

座っている私を眉を顰め見下ろしながら問い掛けてきた男性。
いやいやいやいや！私が最初に聞いたんだからお前から名乗れよ！しかも声も掛けずに部屋に入って来たし…なんだコイツ失礼な奴だなぁ…。
そこで私は気付く。事務室に用がある人なんて一人しか居ないじゃないか。

「あ、もしかして小松田さんが言っていた助っ人って…」

鹿之介『紛れもない僕の事だな』

わぉ、やっぱり。ふぅむ…なるほど。性格に難有りの人なんだな。ま、でも今日一日お世話になるから仲良くはしておきたい。
そう思うとゆっくりと立ち上がり彼に近付き右手を差し出しながら自己紹介をした。

「初めまして。今年の春から忍術学園の事務員(兼何でもお助けピンチヒッター係)をしています、音無Aです。よろしくお願いします」

鹿之介『事務員？小松田くんの助っ人ではなく、事務員をしているのか？』

食いつくところそこなの？

「はい…一応」

鹿之介『何で僕じゃなくて女を雇うんだ…まぁ、良い。今日で小松田くんとこの女よりも僕の方が事務員として優秀だということを学園長先生に知って頂かなくては…！』

何かボソボソ独り言呟いてるけど…私が事務員ということを言った時の彼の信じられないという表情が頭から抜けない。つくづく失礼な人な気がするんだけど、こういう人なのだろうか。だから吉野先生があんなにも危惧していたのかな。
行き場の失った宙ぶらりんの右手をそのまま下げた。

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