【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その11(夏編)

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侵入者『お前、今自分が置かれている状況を良く考えて行動してるのか？』

首元に当てられていた苦無が私の右頬へと滑らせられる。そして軽くペチペチと叩かれた。
視界の端で太陽の光が反射している苦無から逃れようと少しだけ横に顔を背ける。

私が口を割ると忍術学園に迷惑がかかる。でもその前に私が殺されてしまうかもしれない。どっちにせよ、絶体絶命な状況は変わらない。

頭をフル回転させてどうしようか考えていると、扉を叩く音が聞こえてきた。

鹿之介『…A、いるのか？』

この声は出茂くん！私を追いかけて来てくれたの…？
出茂くんの声が聞こえると、侵入者は『チッ』と舌打ちをした。
そして小声で私にこう告げる。

侵入者『…俺がいることをバラすな。あいつをここから離れさせろ』

塞がれていた口がようやく解放されると、少しだけ深呼吸をした。
相変わらず苦無は頬に付けられたままだ。
膝に置いた拳をぎゅっと握り締め震える口をゆっくりと開く。

「い、るよ…」

恐怖で上手く口が回らない。何とか声を絞り出し居ることを伝える。

鹿之介『…入るぞ』

「ま、待って！い、今ちょっと、その…き、着替えてるから…」

我ながらとんでもない言い訳をしてしまった。
事務室で着替えるってどういう事だよ。でも他に言い訳思いつかなかったんだもん！

鹿之介『…そうか』

うぇぇえ？！突っ込まないの？！

鹿之介『あー…今から言うことは僕の本心ではないからな。あいつらに言われて仕方なく言うだけだ。だからよく聞け。…さっきは悪かった』

扉越しに告げられた謝罪の言葉。
出茂くんなりに反省したのだろう、言わされたと言わんばかりに言葉を紡いでいるが私はそうは感じない。
先に謝られてしまった。私も謝らないといけない。でも出来れば面と向かって言いたい。何より今はこの状況を何とかしなければならない！

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