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プロローグ(2022/05/20訂正) ページ3

とある晴れた春の日の昼下がり。学校を早退して、私はお供えの花を持ってお寺へと足を運ぶ。
階段を登り境内へ足を踏み入れると、掃除をしていた和尚様がいた。

「こんにちは」

和尚『…あぁ、こんにちは。毎日来てくれてありがとうね』

優しく微笑む和尚様。和尚様には随分とお世話になった。私は「いえ、当たり前のことです」とだけ言って軽く会釈をした後に墓地へ向かう。

毎日来ていると、こういう景色も見慣れたものになってしまった。墓地が見慣れた光景ってどういう事だよ、ほんと。

「…お父さん、お母さん。来たよ」

そう言って、1つのお墓の前にしゃがみ込む。
私の両親が眠っているお墓だ。
10年前の今日、私は両親を亡くした。あの時のことは今でも鮮明に覚えている。そして必ず懺悔する。

「…後悔したところで全部遅いんだけどね」

ポツリと独り言を呟いたと同時に、携帯がメッセージが来たことを知らせてくれる。
ポケットから携帯を取り出すと、叔母から連絡が来ていた。

叔母『Aちゃん、こんにちは。元気にしてる?今日はお父さんとお母さんの命日ね。もうお墓参りしたのかしら。まだなら、叔母さんたちも今から向かうから一緒にどう?その後ご飯でも食べましょう。お返事ちょうだいね。』

両親を亡くし、1人になった私を叔父と叔母は何も言わず引き取ってくれた。今でもこうして頻繁に連絡をくれる。

「心配しなくていいのに。私は大丈夫だよ」

思わずふっ、と笑う。
私のことを思ってくれているのが分かるから辛い。私は叔父と叔母に迷惑をかけたくないから16の時に家を出た。相変わらず仕送りはしてくれるけど家賃と学費分だけ使っている。後は全て使わないで取っておいている。そして仕送りしてもらったお金はいずれ全額返す予定だ。

「もうお墓参りしたから帰ります」と返事をして、そっと携帯をポケットへと戻した。

「…あ、お水汲んできてないや」

ゆっくりと立ち上がり、お墓に背を向けたと同時に足元が崩れた。ガクンッと膝から崩れ落ちるように下へ下へと落ちていく。何が何だかで遠くなっていく空を見つめていた。落ちている最中、どこからか懐かしい声が聞こえた気がした。

『あなたには幸せになって欲しい』

そう聞こえた気がしたと同時に私の意識はプツンと糸が切れたように途絶えた。

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設定タグ:忍たま , 愛され・逆ハー , RKRN   
作品ジャンル:アニメ
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りっか(プロフ) - 住人さん» ようそこ沼へ!!!!大歓迎です♡嬉しいお言葉ありがとうございます!!!!ぼちぼちになりますが頑張りますのでよろしくお願い致します!!!! (2023年2月18日 9時) (レス) id: 478fa1c1b9 (このIDを非表示/違反報告)
住人 - 最近沼に落ちてきました。しばらくここでお世話になります!これから猛スピードで最新話に追いつくので更新頑張ってください!! (2023年2月15日 22時) (レス) id: c00a4cd404 (このIDを非表示/違反報告)
りっか(プロフ) - スイちゃんの姉貴的存在のご友人さん» うぎゃ!!ありがとうございます!その一言がとても嬉しいです(;;) (2023年1月24日 13時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんの姉貴的存在のご友人 - 良き (2023年1月20日 21時) (レス) @page5 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
りっか(プロフ) - 銀蘭さん» ぎゃあああああああああ!!ありがとうございますううううう( ´:ω:` )ありきたりな設定でほんっと申し訳ない思いもありつつ私の妄想に付き合って頂いて…これを励みに頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いいたします!!!!! (2022年1月23日 3時) (レス) id: c181ad41b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りっか | 作成日時:2021年12月17日 16時

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