転生者な柱、救った命を愛したい ~私、お姉ちゃんになります~← 4

約束 ~不死川実弥side~ ページ21

実「おいっ!匡近!匡近!!」

下弦の壱だった

初めて会った十二鬼月とやらは今まで殺してきたどの鬼よりも強くて

しかもガキ共がいて、そいつ等は鬼なんかを親と思いやがって

善良な匡近は一人のガキを庇って致命傷を負った

もう助からないのは目に見えていた

匡「さ、ねみ…。」

実「匡近!しっかりしろ!」

匡「ごめん…。」

実「すぐに医者に見せてやる!だからっ、まだ…!!」

匡「……約束、よろしくね。」

実「約束って…おい!あの馬鹿げた話かよ!?」

匡「Aなら……。実弥なら……。」

その言葉を最後に、匡近が目を開けることはなかった






『実弥くん。』

匡近の死後、鱗滝さんに会ったのは匡近の葬儀だった

柱は忙しいと聞いていた。ただの一隊士の葬式に来るわけないと思っていた

だが、そこに白い花を抱えて立っているのは紛れもなく匡近の想い人だった

『匡近は…。』

彼女の口から匡近の名前が出た。それだけで涙腺が刺激されたようだった

涙を流すだけで何も口にしない俺のことを、鱗滝さんは俺の目元を拭い抱きしめる

『ごめんね、実弥くん。』

違う、違うんだ、鱗滝さん

抱きしめる相手は俺じゃない、匡近だ

あんたが抱きしめるのは俺じゃないし、あんたは匡近に抱きしめられるべきなんだ

二人で夫婦になって、ガキ育てて、孫ができるようなしわくちゃの年齢まで生きるべきなんだ

あんたの恋心とか想い人なんか知らねぇけどさ、匡近はうんと良い男なんだ。文句はないだろォ

なぁ、匡近





匡「……ねぇ、実弥、もし俺がAに想いを告げられずに死んで、その後Aが誰とも結婚してなかったさ、実弥がお嫁にもらってあげてよ。」

実「……ハァ?何言ってんだよォ。縁起でもねぇなァ。」

匡「鬼殺隊だしね。念には念を、ね?」






産「匡近は遺書を二通書いていてね。これはA宛なんだ。」

お館様のそのお言葉を聞いたとき、すぐに気付いた

あれは、あの遺書は恋文だ

ずるいぞ、匡近。彼女を譲る気ないじゃねぇか







『下弦の弐だったけど、意外と早く終わったね!それに実弥くんとは一緒に戦っててすごいやりやすかったよ!』

そりゃあそうだ

俺の技は限りなく匡近に近いだろうなァ。何しろ同じ人に師事してんだ

今まで一緒に戦ってきたんだ




俺じゃあお前の代わりにはなれないんだ




『……恋しいね。』

テメェの想い人は、俺には眩しすぎる

どう見ても、俺の付け入る隙なんてねぇよ



不死川実弥side 終了

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