蝙蝠（違うよ！？）と捻れた世界 (ページ1)

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『ふああ……』

灯火「んだよ真幌～、一人だけでかいあくびしやがって」

『はいはいわるうござんした』

灯火「よろしい」

『やったー』

我が名は夢宮(ゆめみや)真幌(まほろ)。

中三受験生にしてポケモン廃人。

記念すべき初プレイはXY。

旅パはほとんどがドラゴンタイプといういわばドラゴン厨。

最推しはオンバットとオンバーン。

さっき話しかけてきた奴の名前は如月(きさらぎ)灯火(とうか)。

同じく受験生でありポケモン廃人。

初プレイはオレと同じXY。

オレと違ってこいつの旅パはほとんどがほのおタイプといういわばほのお厨。

最推しはヒトカゲ、リザ―ド、リザ―ドン。

こいつとの付き合いは意外と長い。

きっかけもまた、ポケモンだった。

小学生のころ、独り言で呟いた『さて今日はビオラ戦かあ…やばいかも』を聞かれていたらしく、「俺も俺も！なら一緒にやらねえ！？」と返され、話しているうちに意気投合した。

ストーリー中は交換し、クリア後は対戦しまくっていた。

こいつからもらったヒトカゲは数少ないドラゴンタイプではない旅パの一員だった。

…メガリザードンXにして戦うことが多かったのは内緒だ。

灯火「おう真幌。今度また遊ぼうぜ。対戦だこら」

『いい度胸だよほのお厨。前みたいにボコしてやる』

脳内自己紹介の中に差し込まれた灯火の言葉に半ば反射で返す。

灯火「何を言うかドラゴン厨。俺だって強くなってんだよ覚悟しろ」

まあ、いつもと変わらない日常の一コマだった。

だった、んだけどな……

「危ない！」

キキ―ッ、ドーン！！

強い衝撃とともにオレと灯火は宙を舞った。

そのまま地面に叩きつけられる。

「君たち！大丈夫！？今救急車を呼ぶから頑張って！」

なんで、救急車…

灯火「いい加減気づけよ…俺達、轢かれたの」

じゃあ、死ぬのかな…？

『…約束は……？』

灯火「来世に持ち越しだな……」

果たせるといいな…

……遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

でも、もうオレは限界だ。

灯火だって、もう気配がしない。

…もっとポケモン、やりたかったなぁ…………………

そう思いながら、オレは死んだ。

……………………………………はずだった。