MIU : 015 ページ15
Aside
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
伊吹さんに用事があって何だかんだ彼に電話した私は、通話最中に割と大きめに叫んだっきり、スマホを部屋に置いてきてしまった。
私は今、アパートの自分の部屋の外にいる。
というのも底知れない程の嫌な予感がしたから。
伊吹さん、どうしたかな？
あの人のことだから絶対心配してるに違いない。
ただでさえ病院に行けとうるさかった人だし、叫び声なんて聞いた暁には赤灯回して警察いっぱい来るんじゃなかろうか。
彼ああ見えても刑事さんだし。
現状、スマホさえ持ってきてたら良かったのに。
ただ、今、私には部屋に戻れない理由がある。
それは……
── 花井ちゃん！！！
タタン、タタン、と電車が通る音に重なって、伊吹さんの声が聞こえた気がした。
暗がりの辺りをキョロキョロと見渡す。
この辺は街灯がぽつりぽつりとしかないから、一瞬気のせいかと思った……けど。
伊吹「花井ちゃん！！！」
聞き間違いでも空耳でもなく、伊吹さんが私を呼びながら血相を変えて走ってきた。
なんで家を知ってたんだろう？とは思ったけど、それ以前に彼の登場にびっくりした。
そして、それと同時に安堵もした。
私も「伊吹さん！」と返そうとした瞬間、
ものすこい勢いで抱きしめられた。
伊吹「花井ちゃん…」
『……伊吹さん…』
伊吹「あー良かったぁぁ…見つけたぁ」
そう言ってもう一度強く抱きしめられたあと、体を離して私の顔を見るなり、くしゃっと目尻を下げた。
ドキッとした。
伊吹さんは背が高いから、割と女性の平均身長ほどの私ですら、彼を見上げる形になった。
伊吹「大丈夫だった？」
『……はい』
伊吹「何かあったの？」
『あ…』
志摩「伊吹！花井さん居たのか？！」
伊吹「もー遅いよ志摩ちゃん。花井ちゃん、無事見つかったよ」
志摩「…そっか。あー良かった〜」
遅れて来た志摩さんも安堵の表情を浮かべた。
あぁ、そっか。やっぱり心配してきてくれたんだ。
『志摩さん…』
志摩「何かあったのかと思って心配しましたよ」
『ごめんなさい。私…』
伊吹「で、何があったの？」
『……伊吹さぁん…』
思い出して泣きそうになった。
私は今、部屋に戻れなかったことを忘れてた。
しかも伊吹さんたちが来なかったらもう二度と部屋には入れる気がしなかった。
『実は…ゴキブリが出たんです…』
そうなのだ。部屋にゴキブリが出たのだ。
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うさぎ(プロフ) - 緋晴さん» ふええありがとうございますぅぅ(土下座) (2020年8月10日 9時) (
レス) id: 183c1c3396 (このIDを非表示/違反報告)
緋晴(プロフ) - あああひたすら好きですほんととうてぇ...(語彙力) (2020年8月10日 0時) (レス) id: 8ebd23ea39 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - 果さん» わぁ語彙力の神様降臨や！！(尊)見て下さってたの凄い嬉しいです(//∇//)果さんの作品好きで、お話してみたかったんです。嬉しいどうしよう！！！ (2020年8月5日 7時) (レス) id: 183c1c3396 (このIDを非表示/違反報告)
果 - うさぎさん» きゃー！もしやあの小説知っていただいてるんですか( ; ﾛ)ﾟ ﾟ非ログでもさもさ書いてる小説なので恐縮です汗本当にありがとうございます！ (2020年8月4日 22時) (レス) id: 5cf2525d27 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - 果さん» コメントありがとうございます(*^_^*)嬉しいですーー！！あの、もしかしてイーグルアイの作者様ですか？？？ (2020年8月4日 19時) (レス) id: 183c1c3396 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさぎ | 作成日時：2020年7月5日 19時
