狐少女は知っている (ページ11)

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若武のアダナページ11

黒木「オレなら､若武のことは､いばり屋っていうより目立ちたがり屋って言うけどな｡｣
　「こいつったら､いつもハデに決めたがってそれで失敗するんだ｡｣

私は一瞬､笑いだしそうになってしまった｡

なんとなく､納得できる気がする｡

よくいる感じの子だ

上杉「オレなら､気取り屋って言うね｡｣
　「若武は､どんな小さなことでも､とにかくカッコつけてやりたがるんだ｡｣

和彦がボソッとつけ加えた。

小塚「ボクは､ハッタリ屋だと思うな｡｣
　「どんな話でも若武がすると､よさそうに聞こえるもん｡｣
　「人をそそのかす名人だよ｡｣

経験がみんなあるのかな？

立花さん笑いだし､若武は今にもはちきれんばかりにムクれあがった｡

そして自分の肩にのっていた黒木の手をはらいのけると､いまいましそうにみんなをにらみまわし､

若武「ああ､オレは､いばり屋で目立ちたがり屋で､気取り屋でそそのかし屋だよ｡悪かったな｡｣

若武はふてくされていすの背にかけてあったブルゾンをつかむと､キュッと靴底をならして身をひるがえした｡

小塚「おい、若……」

言いかけた和彦の声をドアの音が消し､続いて階段をかけおりる荒々しい足音がひびいた｡

私たちは顔を見合わせ､部屋の中に沈黙が広がった｡

あらま

上杉「短気なのもあいつの悪いとこだな｡｣

和典がため息をついてみんなを見まわした｡

上杉「たとえ欠点が山ほどあっても､オレはおまえに一目置いてるって言おうとしてたのにさ｡｣

黒木が､和典の首にぐいっと腕をからませ､自分の胸の中に引きよせて言った｡

黒木「ウソつけ｡そんなこと口が裂けても言わねーくせに｡｣

私も和典をこづいて､

貴方「和典がそんなこと言ったら明日は槍が降るよ｡｣

と言った｡

和典は､メガネのむこうで笑って私にデコピンをし､黒木の胸をドンとたたいた｡

和典「お互いさまだろ､黒木｡」
　「そしてオーカはなんかムカつく｡｣

む？失礼じゃないか？

黒木もちょっと笑った｡

黒木「まあな｡｣