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陸噺 ページ8
「近頃冷え込んできたな」
機を織る手を止め、温める様に擦り合わせる。
「……蟒、今日は折り入って話がある」
普段あまり見せることのない生真面目な表情で、男は俺の正面に腰を下ろした。
其れに従い、男に向き合う。
「なんだ改まって」
「実は紹介したい者がいてな」
近頃何やら独りでコソコソとしていることが多いと思えば、終にする
「―――入って来なさい」
「はぁい、ととさま！」
しかし予想を反し戸口から顔を覗かせたのは程遠く、まだ言の葉もたどたどしい童。
今父様と申さなかったか？
「この童は……？」
男は童を隣に座らせ、背に手を添え目を細めた。
「俺の子だ。―――名は夜卜」
「夜卜……」
自身よりも幾分も低い処から向けられる、天色の澄んだ瞳。
呑み込まれそうな程に綺麗なそれから逃れたいのに魅入られた様に目が離せなかった。
我が家に不思議な童が来た。
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