拾参噺 ページ15
夜卜が来てから約一月。
「足元に気をつけなさい」
「大丈夫だよ！母様！」
白地の中をしっかりとした足取りで駆け回る。
口触りも幾分も滑らかになった夜卜を、少し離れた位置から微笑ましく見遣った。
同時に遠くの方に見え始めた、黒の癖毛に胸がトクンと反応を示す。
「蟒、夜卜。二人共此処に来なさい」
「はーい」
「……本日は随分と早いのだな」
近頃何やら早朝から深夜まで、物探しをしていると言い出ていた。
こうして日の上る刻に顔を合わせるのが久しく感じる程だ。
「
「
「家族が増える」
「……何？」
「家族！男？女？」
「ははは。そう急くな、夜卜」
「待て。まさか近頃の物探しとはヒトのことだったのか？」
「ん？まあな」
「御前……、そういう大事なこと初めからハッキリ言え！！」
「俺は初めから言ってあっただろう。使えるモノを探している、と―――」
「
俺の気迫に圧されたのか、鈍い返答を返す男。
此奴は一体何を企んでいるのか。
「……兎に角もう一人増えるということだ。蟒、世話は頼んだぞ」
「はァ……反省していないだろう」
「父様！どんな奴が来るの？」
「―――とても
「へえ〜。早く会いたいね、母様」
「……嗚呼」
次から次へと......頭が痛い。
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