巡る時間の中で (ページ16)

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Alan side

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『そういや鍵、ポストか』

Aが家に泊まっていって俺は仕事があるから朝早くに出ていって、

家に帰るのは2日ぶりだ。

Aには合鍵を渡してポストに入れといてって言ってある。

ポストを開けるとちゃんと鍵だけが入っていた。

俺はその鍵を持って自分の部屋に行った。

ｶﾞﾁｬｯ

ドアを開けると真っ暗で

『ちゃんと帰れたかな、A』

いつもと変わらない景色だった。

一人暮らしの大切な彼女と別々で暮らしている俺のいつもの見る景色だった。

でも、部屋を進んでいってリビングの机を見ると

そこだけ、いつもと違う景色だった。

『手紙？』

そう言って俺は封筒の裏を見た。

"亜嵐くんへ"

そう書かれてあった。

俺は嫌な予感がして急いで封筒を開けた。

その中には1枚だけ手紙が入っていた。

そこには明らかにAの文字が。

"亜嵐くんへ"

亜嵐くん、あなたのことは一生忘れません。
私の青春に色をつけてくれた大切な人です。
私は貴方のことを好きになってよかった、と思っています。でも、私は時間が流れていくにつれてわがままになってしまいました。やはり、私とは違って学校でも人気者だった亜嵐くんは芸能界にいても人気者で、外で一緒にいることや話している時に私は不安になりました。こんな大事なこと直接話すべきだったと自分でも思うけど、こんな私だから逃げるしかありませんでした。だからせめて、自分の字で亜嵐くんに伝えようとこの手紙を書きました。

亜嵐くん、私にたくさんの青春と愛をありがとう。
あなたと過ごした日々は一生忘れません。
永遠に大好きだから。

亜嵐くん
大好きだよ。

"Aより"

手紙を読んで涙が止まらなかった。

『俺は、何も出来てなかったんだ、Aに』

そう思うと悔しくてもどかしくて今すぐAの元へ行きたかった。

手紙を読んで"別れよう"って真っ直ぐに書かないところ、Aらしいなって思った。

A。もし、俺が芸能界にいなかったら俺たちまだ続いてたかな？Aは泣く日々を過ごさなくても良かったのかな。

Aのとこだから電話もでないし引越しでもしてるんだろうな。

俺も1つ最後に言わせて欲しかったな

A、愛してるよ。