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144.最低な男 -O.side- ページ25
【智side】
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俺は何を聞いてんだろう…。
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「…、私、は……」
俺の言葉に戸惑ってるAちゃんが、抱き着いてた腕を外して俺から離れる。
お互い向かい合いながら座って、俯くAちゃんの言葉を静かに待つ。
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「……それでいい、です………」
そう言ったAちゃんは、やけに落ち着いていて。
その言葉を聞いていた俺も…また落ち着いていた。
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智「…、そっか。……俺さ、きっと今までにAちゃんの事すっげぇ傷付けてきたよね…」
「っ、そんな…」
智「ううん。Aちゃんは優しいからさ、…そういうところ、俺に見せないようにしてくれてたんじゃない？」
「…そんなこと無いですっ。…私、」
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パッ、と顔を上げて俺を見たAちゃんの瞳は少し潤んで震えてた。
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あぁ、俺は全然ダメだな。
傷付けたくない子を傷付けて…、
それでなんで俺が苦しくなってんの？
泣かないでほしい。
けど、泣かせてるのは俺で…。
傷付けてんのも俺で…、悲しませてんのも俺。
溢れそうにAちゃんの瞳にフルフルと震えて留まる涙を、拭ってやりたいと思う俺はきっと最低だ。
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智「……、ごめん。…ごめんね……」
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何も言わなかったAちゃんの瞳に溜まっていた涙が頬を伝ったのを、俺は見て見ぬふりをした。
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作者名：な り き | 作成日時：2017年10月16日 14時
