8.あの人が…？ ページ8
奈々「A！おはよ！」
教室に入った瞬間、奈々の元気な声が教室に響く。
「おはよ！」
奈々とは小学校で出会って、すぐ仲良くなって、よくお互いの家に行ったりしていた。
奈々「今日私の家で遊ぼーよ！Aが気に入ってた漫画の新刊出たの！」
「ぁ…、あのね、奈々。その事なんだけど…」
.
奈々「えっ、…Aのお父さん亡くなっちゃったの…？」
「うん。…でね、昨日から違う人の家に住んでて…」
奈々には昨日あった事と、お父さんの事を
全て話した。
奈々「…そっか。大変だったね。…今Aと住んでる人ってどんな人なの？」
……どんな人…って、
「…わかんない」
奈々「女の人？男の人？」
「男…」
奈々「その人優しいの？」
優しい……のか。
…いや、あの人はただ私を哀れんで気を使ってるだけだ。
「……、普通」
なのに、
なんで優しくなんかないって言えないんだろう…。
奈々「そっかぁ…。なんてゆう名前なの？」
たしか…
「大野…智」
そう言った瞬間、奈々が急に大きな声を出した。
奈々「えっ！大野智って、あの大野智？」
「…へ？なに、あのってどうゆう事？」
奈々「知らないの？ここら辺じゃ有名なのに！」
「…なんで有名なの？」
すると奈々は急に女の子の顔で話し出した。
.
奈々「だってさ、学童(託児所)の先生で私もたまに大野先生に会いに行ってるんだけどさ。もぉ、大野先生カッコイイのに可愛らしさもあるじゃん？それに何より、ちょー優しいの！あの優しさとふわふわな笑顔向けられたら皆恋に落ちちゃうよ〜」
.
学童…の先生なの？あの人……
奈々「もうめっちゃ羨ましいんだけど！Aズルい〜」
いや、全然羨ましい要素無いよ。
奈々「A大野先生のこと普通とか言ってたのー？信じらんない！優しさの塊じゃん！」
ちょっと褒め過ぎじゃない？
どんだけ好きなの。
奈々「じゃあAはすぐに家に帰んないとね。家に帰ったら大野先生いるとかイイな〜」
…そっか。家に帰ったらあの人いるのか。
………なんか気まずいな。
.
「…私やっぱり奈々ん家行こーかな！」
奈々「えぇっ！？なんで？！私だったらすぐ帰るよ？！」
「いいの！私が行きたいの！」
奈々「ん〜、わかった。じゃあ帰り一緒に帰ろ！」
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作者名：な り き | 作成日時：2017年8月7日 1時
