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「のんちゃん…こういう所に入るんは、初めて?」
黙って頷き、緊張した面持ちで礼拝堂ん中に入ってくのんちゃん
クスッ。ちょっと、かわええかも!笑
「座ってみる?」
「……おん」
礼拝堂の中に2人だけの声が響く
長い木製のベンチに腰を下ろし、目の前にある大きな十字架とマリア様像を2人で見つめた
「なんか…この中って神聖な感じがするわ」
「きっと、ここには神様がおるから…そう思うんやで」
「ククッ…」
「なんで笑うんよ!」
「やって、お前が"神様"なんて口にするからや。昔もAってすぐに『神様にお願いする〜』って連発しとったやろ?」
「そんな大昔のことやなんて、覚えてへんくてもええから!はよ忘れてや」
「嫌やわ。絶対に忘れてやらへん!」
「もう〜!のんちゃん、あん頃より絶対意地悪になったやん!」
「ハハッ。Aに隠しとっただけや!笑」
10年前とはちょっと違う2人のやりとり
やのに…あん頃よりも、ずっと…ずっと
のんちゃんの存在を近くで感じれる気がしてん
________あの頃
『ほな、のんちゃん。迷惑かけると思うけどAのことお願いな』
ママがのんちゃんにあたしを預けて仕事に出かけるとき
『Aには、僕がおるから大丈夫やで!』
っていつも優しく言うてくれたよね?
それにママがおらん間のんちゃんはあたしが『ママ〜』って泣くと、何度も頭撫でてくれたよね?
でもな?あれから10年経ったら…のんちゃんはちょっと意地悪になっとるし
あたしものんちゃんに生意気にも意見するようになって…なんか不思議やわ
あん頃はのんちゃんが6つ上のお兄ちゃんって感じがしとったけど
何故か今は年の差があまり気にならへん…なんて
「なぁ、A…」
「なん?」
隣を向くとのんちゃんが真面目な顔をしとった
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作者名:ち ぇ る | 作成日時:2017年1月27日 18時