人生レスタース【 wrw.rd 】 (ページ8)

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ー「異世界から来たみたいな人」と言うのが第1印象。3年の先輩…基トントンさんと同じ黒い髪に同じ紅い瞳。かと言って似ているかと聞かれたとしても、首を縦には振れない。彼女の瞳は何処か濁っていて、必死に見えない何かを見つめている。

ーこの高校の生徒会は言わば高嶺の花。しかし彼女もそれと同じ様なものなのだ。人当たりも良く、頭も良くて運動もできるオールマイティー。そんな彼女が、まさかクラレ先生と仲がいいとは知らなかったが。

『まさか高嶺の花がクラレ先生のところに通ってたとはと思って。意外っすね。』

ー煽る様に伝えた言葉に気付かず、彼女は淡々と言葉を吐く。凛とした、少しの隙も見せない様なその姿に何故か既視感を覚え、目が熱くなった。背筋の伸びた淡く微笑んでは尋ねてくる彼女に、騒めく胸を落ち着かせながら答えた。

『 …、俺はあんまりっすね。先輩達が仲ええんで、気紛れ半分ついで半分って感じっす。』

「そうなんですね。」

ー先輩達は、仲がいい。勿論俺等1年も含め仲がいいのだが、共に過ごした時間の差は何処にだってある。良くも悪くも、それはいつでもキーパーソンとなる。

ー心底興味の無さそうな返事をした彼女に、興味と、また少しの【懐かしさ】を覚えては居られなかった。いつも親身になって話を聞いてくれる様なイメージが付いていたが、どうやら迷信かもしれない。実際に相談に乗っている所を見たわけではないが、固定概念とでも例えておこう。

『呼び捨てでええっすよ。』

ー柄にもなく伝えた言葉を微笑みながら受け止めた彼女は、嫌、彼女の瞳はまた濁りきっていた。悍ましさを少しばかり感じ、時間があるから飲み物を買ってくるとはぐらかしてその場を離れた。返答を聞く前に席を立って、廊下へ早足で歩いた。

ー曲がり角で誰かとぶつかりかけ、正気を取り戻して距離を取った。水色の髪に瓶底眼鏡をかけたそいつは、驚いた後直ぐに俺に話しかけてきた。…よく知る顔で少し安心した。

「わ！？…なんやショッピくんか、吃驚したやんけ。」

『 …チーノか』

「 …ショッピくん、顔色悪いで。なんやあったんやな。」

ー確信に基いて問う辺り、やはりチーノらしい。普段ならその言い様に少しばかりの不満はあるものの、今回はそれが心地よく感じた。

ー流石に、急に【高嶺の花が懐かしく感じた】なんて言えば可笑しいだろう。と言う変な気遣いの末、どうにかチーノに誤魔化して廊下を歩いた。