人生レスタース【 wrw.rd 】 (ページ7)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:5,277 hit

夢主 × 紫ページ7

.

ー昨日のことをぼんやりと思い出しながら教室に入る。まだらに聞こえる敬意の込められた挨拶に、にこりと笑みを向け返すと顔を赤く染めながらそそくさと席に集っては、ひそひそと何かを話しだす。残念ながら自分の見た目の良さは自覚してるので、美しくてごめんなさいと気分の悪くなる謝罪を軽く心に浮かべて自席についた。

「おはようございます。話、聞いてますよ。」

『 …おはようございます。話と言うのは一体何のことで？』

ー声をかけてきたのは生徒会役員兼1年書記のショッピ・イロニー。1年にして生徒会に入り周りから1目置かれつつも、3年の間では猫っぽくていいとファンクラブが出来ているらしい。猫というよりは海豹っぽいと思うのは恐らく私ぐらいだ。

ー気だるげなジト目のアメジストの様な瞳には、何故か"興味"が絶え間見える。話と言うのに心当たりはないのだが、彼の瞳を覗いたからには余程珍しいことなのだろう。

「何とぼけてんすか。ゾムさんから"あんたとクラレ先生とこで会えた"って聞いたんですけど。」

『ああ、会いました。…それが？』

「まさか高嶺の花がクラレ先生のところに通ってたとはと思って。意外っすね」

ーその程度でか、なんて思っている私を横目にショッピさんはまじまじと吃驚した様な雰囲気を醸し出しては意外だと語る。

ー気持ちは分からんでもない。高嶺の花の有名人が変わり者のところに意図的に通ってたと言うのは、周囲からすれば物珍しい。しかしそれを、まさか彼に言われるとは思ってなかった。あまり他者に興味を示さない人、と言うイメージが付いているのは少なからずいるだろう。

『聞き上手な先生ですから話甲斐もありますし。何より普段学ばない物を短に体験できるので、つい通ってました。ショッピさんもよく行かれるんですか？』

「 …、俺はあんまりっすね。先輩達が仲ええんで、気紛れ半分ついで半分って感じっす。」

『そうなんですね。』

ー彼の言う先輩達の中は、あの金髪にスカイブルーの瞳を持つ彼が大半を占めているんだろう。よくじゃれ合っている所を見たり何かと因縁付けているのを聞くが、真意は尊敬や憧れといった感情なんだろう。所謂天邪鬼とでも言うのだろうか。

ーーその中に【彼女】は入っているのか。愚問だ。知らないふりが1番楽なんだ。

「呼び捨てでええっすよ。」

ー生徒会の人と仲良くなりたいわけじゃないのに、と悪態をつきながら彼に微笑んで頷いた。