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結局一緒に行くことになった。
恋人繋ぎをされてるのだが、もう誰かに見つかる恐怖しかなくて、それどころじゃなかった。
「あ、そう!A、真冬って呼んで!」
本当は今すぐ拒否して、手を振りほどいて走りたい。でも、そんなことしたら一生、この嘘の温もりは戻らない気がして、恐かった。
「ま、まふ、まふゆ。真冬。」
私が緊張しつつ、少しずつ言っている横で、いけいけー、なんて可愛く応援するものだから先程の出来事が嘘かのように思えてしまった。
「じゃあ、ご褒美。」
腕を引っ張られ、塀に押し付けられる。そのまま、顔が近付いてきた。前言撤回。可愛くなんてない、悪魔だ。
振り払おうとしたその瞬間、あの、私の大嫌いな声が聞こえた。
楽しそうで、幸せそうで、羨ましくて、憎くて、入りたくて仕方のなかったトコロ。
そして、私の中から消し去りたかったトコロ。
今までの記憶が駆け巡るのは、いつもこの時だ。
好きだった幼馴染みに言われたこと。
好きだった友達に言われたこと。
好きだった親戚に言われたこと。
好きだった親友に言われたこと。
好きだったクラスメートに言われたこと。
家族以外の誰しもが口を揃えて、言ったこと。
悲しいことは嬉しいことよりも強く、色濃く残る。頭がそれで一杯になって、何も考えられなくなる。そこにあるのは、「辛い」という感情だけだ。
その声が先程よりも大きく聞こえてくるのすらも気付かずに、ぽろぽろと涙を溢した。
「(ちゃんと、しっかり、たすけてよ。)」
視界が暗くなった。
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みかん(プロフ) - 急に失礼します!めっちゃ続き気になります!!楽しみに待ってます!! (2022年1月7日 1時) (レス) @page21 id: 3e49513536 (このIDを非表示/違反報告)
さーす(プロフ) - ちょこさん» すみません!!頑張ります、! (2019年9月7日 22時) (レス) id: 41e6bf832c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
Iwntodidet - シリアス好き (2019年6月8日 20時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
さーす(プロフ) - やのさん» シリアスも甘いのも好きで..wありがとうございます!更新、頑張りたいと思います! (2019年4月16日 17時) (レス) id: 458cfdd516 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サース | 作成日時:2019年3月26日 20時