炭酸ぬけて21日 ページ23
やっと見えた彼女らの姿。
「っA!!」
僕の声に気付き、振り向いた彼女。その目には涙がたまっていて、胸がきゅっとなった。
「ほんとにごめん。僕意気地無しで、Aのこと何にも分かってなかった。」
「自分勝手なのは分かってる..でも、また仲良くしてくれないかな....。」
拒絶したくせに、拒絶されるのは怖い。語尾が弱々しくなってしまった。彼女はちらちらと彼方さんと僕の方を見ている。
「お前の好きなようにしたらいーよ。」
彼方さんはAの手を離し、その場で見守っていた。
「真冬は、気付いてくれてたの?」
明るかった性格は変わったようで、随分と弱々しくなっていた。これも、僕のせいだ。
「気付いてた。でも、恋夏ちゃんに流されて、僕って意気地無しだよね、ごめん。」
「いや、私も多分流される。でもさ、良いんじゃないかな?真冬は恋夏ちゃんのことが好きなんだし...無理して私に関わらなくていいんだよ。」
泣きそうに声を震わせていた。これを、彼方さんなら救えたのか、そんなやるせなさに僕は拳を握りしめた。
「真冬、私のこときら..」
嫌い、その言葉を聞く前に僕は彼女を抱き寄せた。
「大好き。だから、そんなこと言わないで。」
自分から突き放したのだから、そう思うのも無理はない。でも、違う、大好き。そう否定したかった。
「ま、真冬っ....まふゆ!まふゆ!」
幼子のように僕の名前を呼んで、背中の方のカーディガンを握りしめた。
「うん、ごめんね、ここにいるよ。」
彼女をとおして見た、彼方さんは優しい表情で彼女を見ていて、妹を見ているよりかは愛しい女の子を見ているような感じだった。
僕の方を向いた。
「よくやった」
そう、口パクをした。
意気地無しな僕は、ここに置いていくよ。
心に泡がたった。
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍花(プロフ) - こんな旨を締め付けられるほど感情が揺さぶられる小説は多分初めてであったと思いますっ!!切なすぎっ!涙腺かたい私でもこれは泣くよっ(泣き)最高の小説ですね! (2022年9月26日 20時) (レス) @page13 id: 0ca6d56674 (このIDを非表示/違反報告)
さーす(プロフ) - 嬉しいお言葉ありがとうございます!励みになります! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 458cfdd516 (このIDを非表示/違反報告)
starlight - この作品伸びないかなぁ、。表現力も高いし。この作品好きです! (2019年3月28日 23時) (レス) id: 7d8f4de5df (このIDを非表示/違反報告)
さーす(プロフ) - ありがとうございました!グダグダかな?と思っていたのですが、自信が少しつきました!励みになります! (2019年3月17日 23時) (レス) id: 458cfdd516 (このIDを非表示/違反報告)
リート(プロフ) - すごく良かったです!個人的に学園ものが好きなので、ソーダみたいな微炭酸が一つ一つ表現されてて……!語彙力がないのできちんとした感想が書けませんが頑張ってください! (2019年3月17日 16時) (レス) id: 0a8d7846e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サース | 作成日時:2018年10月25日 20時