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机の上に並べられた茹でた枝豆を筆頭とする、酒のつまみの数々と、ノンアルコール飲料のジョッキ二人分。それを隔てた先に見えるのは、楽しそうなすぎる先輩の顔である。
一週間前を彷彿とさせるアングルだが、違う点は、彼の意識がしっかりとしていることだ。前回の反省から学んだのだろう。
先輩を見送った次の日、出社したと同時に私を待ちかねえていたであろう彼が発した「Aちゃん！一昨日の夜は世話になったな！」の一言は、社内にいた人達をざわつかせた。
社員達の混乱を収め、先輩から切り出されたのはそのお礼についてであった。私は遠慮したのだが、どうしても向こうが折れてくれなかったので渋々了承。
居た堪れない気持ちは分かる。ただ、仕事をしていて静かな社内で貴方の声は余計に響くので、もう少しボリュームを抑えて話をして欲しかった。主に女性社員の視線が痛かった。
質問攻めにあうことは想定していたが、男性社員への興味が薄い私が、異性の中でも馬が合わないであろうすぎる先輩と話していたのが心外だったらしい。通常の倍以上の疲労感に、どうしても彼を恨まずにはいられないのだ。
「……ってことがあったんですけど」
「あー……そうだったん？」
悪意がないのは分かっているが、無意識のうちに声のトーンが落ちてしまう。危機感を覚えた彼は、言葉を探りながらそれに対して困ったように笑うだけ。
「いやー……あの、俺は別に……あっ、ちゃうな……Aちゃんが嫌か！うん！何でもあらへん！」
上手いことを言おうとして結局できなかったのか、諦めて自己完結させた彼が何とも奇妙で、笑みがふっと零れた。
「まあいいですよ。先輩達ってそんなもんですから」
「……そうなん？てっきり勘違いされたんかと」
あーよかった、と彼の肩の力が抜けていく。糸を張ったように張り詰めていた空気が、一瞬にして緩まるのを肌の表面で感じながら、気にしないでください、と返し烏龍茶を流し込む。
「あーそうだ」
「どうしました？」
「聞きたいことがあるんやった」
「聞きたいこと….？」
「そーそー｣
一瞬の戸惑いを見せてから、それが無かったかのように口を開く。
「……彼氏って、本当にいないん？」
何故か、やけに喉が渇く。
さっき潤したばかりなのに。
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梅ささみ(プロフ) - わたぬきさん» ありがとうございます〜！そう言って頂けると励みになります！今後ともよしなに… (2018年2月23日 18時) (
レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
わたぬき - 大好きです……更新待ってます。 (2018年2月23日 3時) (レス) id: b5bb97f311 (このIDを非表示/違反報告)
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