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「あ、おはよ、Aちゃん」
「おはようございます。すぎる先輩」
あの一件があってから、すぎる先輩と会話を交わすことが増えたように感じる。でもきっと、それは気の所為ではなくて。
二人ってそんなに仲良かった？と同僚や先輩に疑われるくらいなのだから、それだけ周りにも彼と親しく見えているのだろう。
私達も一応互いに社会人ということで、会社で少し話す程度の関係に留まっている。『飲み仲間』というには余所余所しい。『信頼出来る上司』という所だ。
しかし、そんな上々の関係の中、疑問が生まれたことも事実である。
「ここをこうするやろ？……ほらできた」
「ありがとうございます。先輩、意外と機械に強いんですね」
「意外ってなんやねん……」
「いや、でも普通に凄いと思います。趣味とかですか？」
何気なくそう尋ねた時、彼の笑みが引きつったことに、私は気づいてしまった。
「……あー、まあそんな感じやな！」
いつも明るい彼の一瞬の陰りを見逃すなんて出来なくて、会話を終えた後も何となく気になってしまって。
きっとあの陰りの正体は、彼が私に対して持つ「秘密」なのではないか。そう、結論づけた。それを私が知る必要が無いし、今まで知らなくても付き合えてきたのだから、触れるべきではない。頭では理解している。それでも、隠し事をされていると分かって尚、当たり前に接するのは人間にはなかなか多難なこと。
だから、何気ない時間にどうしても考えてしまう。
社内でそのことを知っている人はいるのだろうか。──もし、もしも知っている人がいるとしたら、その人は彼の──。
ダメだ。思いついて直ぐ、そんな思考回路を振り払った。考えてもみろ。私は唯の後輩、飲み仲間。プライベートに干渉する資格はない。
「ちょっとごめんな、この書類なんやけど……」
「……了解です。……失礼、します」
「えっ、ちょ、Aちゃん！」
私のバカ。
言葉を最後まで待たずにその場を離れた幼稚な自分が情けなくて、唇を強く噛み締めた。
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梅ささみ(プロフ) - わたぬきさん» ありがとうございます〜！そう言って頂けると励みになります！今後ともよしなに… (2018年2月23日 18時) (
レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
わたぬき - 大好きです……更新待ってます。 (2018年2月23日 3時) (レス) id: b5bb97f311 (このIDを非表示/違反報告)
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