flash【n.p.r】

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「そういえば、もうすぐゴールデンウィークだね」

下校途中に立ち寄ったコンビニで、ふと目に入った旅行雑誌を見て思い出した。雑誌の表紙には、『GWに行きたい！日本の絶景特集！』の文字がでかでかと書かれている。
私はそれを手に取り、適当にぱらぱらとめくってみた。

「へえー、こんなとこあるんだ。いいね」

ハッチは雑誌を覗き込み、声を弾ませた。
きれいな花々が一面に広がる丘や、コバルトブルーの海が特集されたページには、思わず心が躍る。

「ねえねえ、今年はどこか行かない？」
「おれネズミー行きたい」
「蘭たん好きだよね、それ」
「うん。でもあんま行ったことないんよ」

蘭たんは横から私の雑誌をめくり、「ネズミーは載ってないかな」とつぶやいた。たぶんだけど、日本の絶景特集にテーマパークは載っていないと思う。

「なに？どっか行くん？」

飲み物を選んでいたすぎるくんとしゅーさんが戻ってきて、私の手元の雑誌を見た。

「ああ、もうすぐゴールデンウィークですもんね」
「うん。だからね、みんなで出かけたいなーと思って」

私はふたりに見せるように、ページをめくった。
すぎるくんもしゅーさんも子どものような、わくわくした目で雑誌を見ている。

「うわー、めっちゃ行きたい」
「いいですね、こういう……滝みたいな」
「みたいっていうか滝だよね」
「おれはネズミーがいいんだけど」
「そんなんゴールデンウィーク絶対混んでるやん」

4人は雑誌を囲んで、楽しそうに言い合いを始めた。
私は彼らの、こういうことで延々と盛り上がれるところが好きだなあ、と思う。
ほのぼのとした気持ちで4人のやりとりを聞いていると、彼らは同時に顔をあげて私を見た。

「Aは？」
「え？」
「どこ行きたい？」
「ま、やっぱネズミーでしょ。Aも好きだし」
「おれ大阪やったら案内できるで！」
「Aちゃん花とか好きですよね。こういうの」
「A、この間動物園行きたいって言ってなかった？」

みんなが口々に言うので、私は思わず笑ってしまった。

「私は、そうだなあ……」

この4人と一緒だったら、どこに行っても楽しそうだ。
でも、私たちはインドアだから、なんだかんだ結局今年も毎年のように誰かの家に集まってゲーム三昧の日々を過ごすんだろうなあ、と思いながら、みんなと雑誌を囲むのだった。

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