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ベッドに寝そべり、スマートフォンとにらめっこすること、およそ2時間。私のブラウザの閲覧履歴は、恋愛相談のページで埋まっていた。
どうしてこんなことをしているかというと、遊園地のときのしゅーさんのことで。
あれから、今まで通り5人で登下校しているしお昼ご飯も一緒に食べているけれど、私はなんとなくしゅーさんの顔を見られずにいた。そうと気づかれないよう、いつも通りに振る舞っているつもりだけれど、ふとした瞬間にぎこちなさが出てしまう。
どうにかしなければと思いながらも、どうしていいかわからないまま日が経ってしまった。他の3人はもちろん、友達にもあの件をどう伝えればいいのかわからず、相談することもできなくて、とうとうインターネットに頼ったというわけだ。でも、未だピンとくる回答は見当たらない。

そもそも『しゅーさんが私を好きかもしれない』というのは、あの日の彼の言動からそう結論づけたに過ぎず、それ以外にそれらしい発言や行動があったわけではない。つまり、それ自体が私の勘違いに過ぎないかもしれないわけで、そう思い込んでいるから、私はしゅーさんを意識してしまっているだけなのかもしれないわけで……。
"かもしれない"の連鎖に陥ったところで、私の部屋のドアを誰かがノックした。

「A、ちょっとお隣に回覧板まわしてきてほしいんだけど」
「あ、うん。わかった」

私はベッドから起き上がり、お母さんから回覧板を受け取った。
部屋着のまま家を出て、隣の家のインターホンを押す。すぐに扉が開いて、Tシャツにジャージというラフな格好の蘭たんが顔を出した。

「A、どしたん」
「回覧板のお届けでーす」
「おー。渡しとく」
「うん、よろしく。じゃーね」
「帰んの?あがってけば?」

蘭たんは片手でドアを押さえ、もう片手に回覧板を抱えて、リビングの方へあごをしゃくった。

「もうすぐ晩ごはんだから」
「えー……話したいことあるんだけど」

蘭たんは少し首をかしげて、上目遣いに私を見る。媚びた色がにじむが、そういうふうにされると私が断れないことを、彼は知っているのだ。

「わかったよ。ちょっとだけね?」
「チョロいわーこの人」
「うるさい」

手のひらの横で彼の頭を小突くと、蘭たんは愉快そうに笑った。

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みかん - 好きです。ずっと応援しております。 (2020年10月31日 21時) (レス) id: e8dff2febb (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 更新お疲れ様です!毎話とても素敵です( ; ; )これからも応援させて頂きます(*´-`) (2020年7月10日 18時) (レス) id: 953a850615 (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございます!そんなふうに言っていただけて光栄です。遅筆ですみません、がんばります! (2020年7月8日 23時) (レス) id: a1167b4d39 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 本当に生きがいです、、頑張ってください( ; ; ) (2020年6月26日 19時) (レス) id: cc2606b39f (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - nullさん» ひぇ〜〜〜ありがとうございます…私も皆さまからの評価やコメントが生きがいに繋がってます、ありがとうございます…! (2020年6月7日 19時) (レス) id: a1167b4d39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささき | 作成日時:2020年5月15日 15時

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