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「すぎるくんたち遅いね」

私たちがお化け屋敷を出てから、もう10分近く経っている。
私としゅーさんは出口近くのベンチに腰掛けて彼らを待っていた。

「ハッチさんも蘭たんも、足がすくんじゃって動けないんじゃないですかね」
「ふふ、ありえる」

他愛のない穏やかな、いつもと変わらない会話。違うところがあるとするなら、私としゅーさんが今手をつないでいるということ。
変に緊張しているのは私だけなのかと思うほど、彼は平然とした顔をしている。

「まあでも、ゆっくり出てきてくれた方がありがたいですけど」

しゅーさんはつないだ手に視線を落とす。その動作は、しゅーさんの言葉の意味を想像するにはじゅうぶんすぎるほどだった。
彼の穏やかな目がゆっくりと私をとらえた。目の前にいるのが、いつものしゅーさんとはまるで別人のようで、胸が波打つ。

「な、なんか照れる、ね」

私は恥ずかしくなって、へへへ、と笑った。それに応えるように、しゅーさんも笑う。けれどその笑顔も、いつもの彼とはどこか違っていた。

「それは、少しは意識してくれてるってとらえていいんですかね」
「意識、と、いうのは……」
「それ聞きます?」

しゅーさんは困ったように眉尻を下げた。私を見つめる彼の目は、「わかってるくせに」と言っているようだった。
そんな、でも、だって。私の頭の中にそんな言葉が浮かんでは消えていく。
言葉に詰まり、流れる気まずい沈黙を、聞き慣れた声が打ち破った。

「あー!やっと出られたー!」
「し、死ぬかと思った……」
「お前らうるさいわぁ、ほんま!」

すぎるくんたちだ。私は半ば反射的に、つないでいた手を振り払うように腕を引いた。
しゅーさんは一瞬悲しげな顔をしたような気がしたが、もう一度彼の顔を見ると、いつもの優しい笑顔を浮かべるしゅーさんに戻っていた。

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みかん - 好きです。ずっと応援しております。 (2020年10月31日 21時) (レス) id: e8dff2febb (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 更新お疲れ様です!毎話とても素敵です( ; ; )これからも応援させて頂きます(*´-`) (2020年7月10日 18時) (レス) id: 953a850615 (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございます!そんなふうに言っていただけて光栄です。遅筆ですみません、がんばります! (2020年7月8日 23時) (レス) id: a1167b4d39 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 本当に生きがいです、、頑張ってください( ; ; ) (2020年6月26日 19時) (レス) id: cc2606b39f (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - nullさん» ひぇ〜〜〜ありがとうございます…私も皆さまからの評価やコメントが生きがいに繋がってます、ありがとうございます…! (2020年6月7日 19時) (レス) id: a1167b4d39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささき | 作成日時:2020年5月15日 15時

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