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｢これ以上一緒にいたらダメになる。もっと貴方と一緒にいたくなる。でもそんなこと、誰も許してくれるはずがなかった｣
よろめく体を引きずるように義勇さんに近づいて、胸元のシャツをギュッと握りしめる。
｢本当はずっと義勇さんと一緒いたいよ。でも、もう、出来ないもん……｣
"好きなら何してもいいのか"
さっき言われた言葉がぐるぐると心の中でかき混ぜられる。
ずっと、罪悪感を感じながらその背中に寄り添っていた。
その罪悪感は徐々に私を侵食し始めて、結局1週間も耐えられなかった。
きっとここで義勇さんが私を選んでくれたって、私はずっとその罪悪感に囚われ生きていかなくてはならないのだろう。
どこまでも自分勝手だ。
勝手に約束を取り付け、自分が耐えられないからと離れようとする。
でもそれを義勇さんは許してくれるだろう。
｢……A、お前の気持ちはよくわかった。ありがとう｣
俯いた顔を上げると、義勇さんは申し訳無さそうに目を細め俯いていた。
｢俺はお前に甘えていたんだ。お前が求めてくれたから、それに応えるしかないと｣
｢義勇さん……｣
｢1週間だけで手放そうだなんてあの時は少しも考えていなかった。どんな手を使ってでも必ずお前を俺のものにすると思っていた……だが、｣
俯かれていた視線がゆっくりと上げられ、群青色のその瞳がしっかりと私を捉えた。
迷いの色を見せながら、しかし揺らぐことの無い力強い眼差しがいつかの水柱と重なり合う。
離れなくてはいけないのに離れ難いから、思わず耳を塞ぎたくなるけれど。
｢全ては俺が始めたくだらないプライドが招いた結果だ｣
私はその目を逸らすことが出来なかった。
群青色の瞳に、もう迷いはない。
｢俺の始めたわがままで、相手の家にまで迷惑をかける訳には行かない。……だから、あいつとは結婚をする｣
｢うん｣
涙が1粒頬に流れることにも構わず、私は笑いながら頷いた。
結婚しないで欲しいなんて、言えない。
過去を思い出さないで欲しかったなんて、今更言えない。
昔のようにまた愛して欲しいだなんて、口が裂けても言えなかった。
義勇さんが下した決断が、私が唯一義勇さんを諦められる方法だった。
｢だがこれだけは覚えていて欲しい。俺が一生をかけて愛した女性は、後にも先にも、A……お前だけなんだと｣
私たちは何も言わずに歩み寄って、お互いに力限り抱きしめ合った。
これが最後だとわかっていながら、少し湿った服がより2人を密着させる。
雨上がりの晴れ間から、嫌味な程に明るい日が私達を照らしていた。
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中川さおり(プロフ) - このシリーズが出来たらまた読みたいです (11月19日 11時) (
レス) @page47 id: 70c247066b (このIDを非表示/違反報告)
莉子 - 私も義勇さんが大好き過ぎるので、なかなか読むのが辛かったですが笑、こんな風に前世で繋いだからこその縁がある、というのがまた素敵で、感動しました（ ; ; ）次回作も首を長くしてお待ちしております！質問コーナー楽しみです！また読み直してみようと思います！ (2021年9月23日 11時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
莉子 - 完結おめでとうございます（ ; ; ）このお話が立ち上がってからのファンですが、本当に物語の世界観と作者様の文章が好きで、更新待ちしている時も何度も読み返してました。更新される度に嬉しくて舞い上がってすぐ読むくらい、大好きでした泣。本当にお疲れ様でした！ (2021年9月23日 11時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 完結おめでとう…。いい話だった‥。幸せに終わった、良かった。これでお別れだな。面白かった。これからも頑張ってくれ。冨岡義勇だ。 (2021年9月23日 7時) (レス) @page47 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - このまま義勇さんと結婚して欲しい！夢主とどうなるか楽しみにしてます。 (2021年7月31日 8時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももりんご | 作成日時：2021年1月27日 3時
