何もないことほど恐ろしいものはない ページ8
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五条の長く伸びた影を踏みながら、3歩後ろを歩く。
『五条』
五条「なんだい?」
五条は足を止めた。
振り返る。
『……“山縣村”ってどこにあるの?』
五条「…」
余裕そうにしていた表情は硬くなった。
五条「…………誰に聞いた?」
『七海』
五条「あーー。
あいつなら言わなくても黙ってると思ったんだけど、
さすがにそこはダメだったか…」
と、頭をかく。
五条「てか、なんで今更?」
結構前じゃね?と首をひねる。
『………なんとなく聞きづらかった』
心のどこかで、
山縣村のことを話せば五条はキレるかもしれないとか、
悲しむかもしれないとか、
いろいろ考えてしまっていた。
五条「え、どこにあるのか知らないの?」
『何百年も昔だから覚えてない。』
五条「てっきり知ってるもんだと思ってた。」
『…で、どこだ?』
五条「京都の山奥」
『…』
思い出すと思ったが、全然心当たりがない。
五条「……思い出した?」
『全然』
五条「あちゃー」
と、そう言うだけで、また五条は歩きだす。
『山縣村には何があった?』
五条の背にそう聞くと、
五条「…ったよ、」
小さくそう答えた。
『…なに?』
五条「何もなかったよ。」
『!?』
村は消滅して、森と一体化したということか?
五条「言葉の通り、
木も、草も、水も、土も何もなかった。」
『は?……それってどういう意________』
五条「山縣村の部分がごっそり穴が開いてた」
『!!』
五条「奈落の底、というか、
底すらなさそうな異様な空洞ができてた。」
『…』
私は、歩くのを止めた。
『…』
五条「……行くの?」
『……』
行ったところで、何ができる?
行ったところで、どうなる?
『…わかんない』
心では行かなきゃいけないって義務感があるのに、
脳みそでは行かないほうが良いって言ってる。
五条「じゃあ行くな。」
『…』
そう言い、五条はまた歩いて行った。
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!オリジナルが多くある筈ですのに、凄く面白かったです。感涙しましたし本当に考えられていてすごかったです!!続編も続けて楽しませて頂きます!! (3月6日 18時) (レス) @page50 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 柚さん» はじめまして。お褒めの言葉をいただけて、とても嬉しいです。かなり不定期な更新となっていますが、これからも読んでいただけると幸いでございます。これからもよろしくおねがいします🙇♀️ (2022年4月14日 23時) (レス) id: 201e0a3aec (このIDを非表示/違反報告)
柚 - はじめまして!とても作品が面白かったので、今までで1番読み入ってしまいました!出来れば小説としてお金を払って読みたいぐらいです笑お話の細かい所まで考えられていて本当に凄いと思います..!作品を作るのは大変だと思いますがこれからも楽しみにして応援してます (2022年4月13日 23時) (レス) @page47 id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - ゆゆさん» ご指摘していただいた上に、このお話へのお褒めの言葉とお気遣い、本当にありがとうございます🙇♀️!歌姫先生の年齢は完全に私のミスですので、修正いたします。大変失礼いたしました。 (2022年4月4日 0時) (レス) id: da97561712 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ↓作者様にお願いがあるのですが,下のコメントを見た後は「ゆゆ」と言う名前でコメントされている二つのコメントを消して欲しいです。このような神作にこんなコメントを残したくありませんので,よろしくお願いします! (2022年4月3日 22時) (レス) id: 05967b49de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:。 | 作成日時:2022年2月14日 21時