いつの時代も馬鹿だから嫌いじゃない ページ6
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二人が処刑されたら何を思い、どう考えるか。…か。
馬鹿な男たちだったな、としか考えないと思う。
『…二人が処刑対象になるのは私を殺さずにいるから?』
夜蛾「そうだ。
呪術師は呪霊を祓うことが役目。
二人は君を祓う能力があるにも関わらず、
特級呪霊を祓おうとしないということは、
呪詛師と判断される。」
『祓ったところで、どうせ生き返るのに?』
夜蛾「どうせ生き返るなら、殺し続けるだけだ。
君が存在しない時間は、事実上“祓っている”ということになるからな。」
『……それは目に見えてる範囲での話ね…』
夜蛾「目に見えなければ、そこに存在しないのと同じだ」
『…ふっ、呪術師とは思えない言葉ね』
私を祓い、
次の月食が起こり生き返るまでの間は、
私はこの世に存在していない。
つまり、その時間は私を“祓った”ことになる。
その裏で何が起きているかどうかは重要でない、
ということを夜蛾は言いたいのだろうか。
『呪霊の自分を養護したいわけじゃないが、私は人間に害を及ぼしていない。』
夜蛾「それは、“何百年の間も”と、断言できるか?」
『できる。』
夜蛾は顎髭を触りながら私の話を聞いている。
『呪術師に攻撃されたときは、さすがに反射的に正当防衛は働くけど』
夜蛾「呪術師は何人の殺してきた?」
『誰も殺してない』
夜蛾「なぜ、殺さない?」
『私は生き返るけど、アンタらは生き返らないでしょ?
勝手に命を奪えるほど、私は偉くない。そのせいで罪悪感を感じるのも正直ごめんだし。』
夜蛾「呪霊にも、罪悪感があるのか?」
『さぁね。他は知らないけど、私にはある。』
椅子に座っている夜蛾は、
前のめりになり、膝に肘を付き、両手を握った。
夜蛾「人間の負の感情によって作られる呪い…。
呪霊の君もそれによって作られたというわけだが、
話を聞く限り、君は負の感情が凝固した呪霊とは違う。
__________ほんとに君は呪霊か?」
低い声が部屋に響く。
『愚問ね。
アンタたちが、私を“呪霊”に決めたんでしょ?
【呪術規定】とやらで。
そして、その規定で五条と乙骨は処刑。』
私の声も、また部屋に響く。
『本当に、いつの時代も呪術師は馬鹿なのね』
夜蛾「…」
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!オリジナルが多くある筈ですのに、凄く面白かったです。感涙しましたし本当に考えられていてすごかったです!!続編も続けて楽しませて頂きます!! (3月6日 18時) (レス) @page50 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 柚さん» はじめまして。お褒めの言葉をいただけて、とても嬉しいです。かなり不定期な更新となっていますが、これからも読んでいただけると幸いでございます。これからもよろしくおねがいします🙇♀️ (2022年4月14日 23時) (レス) id: 201e0a3aec (このIDを非表示/違反報告)
柚 - はじめまして!とても作品が面白かったので、今までで1番読み入ってしまいました!出来れば小説としてお金を払って読みたいぐらいです笑お話の細かい所まで考えられていて本当に凄いと思います..!作品を作るのは大変だと思いますがこれからも楽しみにして応援してます (2022年4月13日 23時) (レス) @page47 id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - ゆゆさん» ご指摘していただいた上に、このお話へのお褒めの言葉とお気遣い、本当にありがとうございます🙇♀️!歌姫先生の年齢は完全に私のミスですので、修正いたします。大変失礼いたしました。 (2022年4月4日 0時) (レス) id: da97561712 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ↓作者様にお願いがあるのですが,下のコメントを見た後は「ゆゆ」と言う名前でコメントされている二つのコメントを消して欲しいです。このような神作にこんなコメントを残したくありませんので,よろしくお願いします! (2022年4月3日 22時) (レス) id: 05967b49de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:。 | 作成日時:2022年2月14日 21時