どうも特級呪霊です。2

本当の姿　※本誌内容含みます ページ35

．








**






夜蛾が話した“ありえない話”とは、
私の本当の姿についての話だった。
　
　

夜蛾「……君が生き返る理由は、恐らく君の術式だろう。」



『…術式…？いや、私には殺石という術式が______』

夜蛾「…では、なぜ生き返る？」

生き返る理由は、明らかではない。
あくまでもこれも憶測だった。




『それは、きっと私が初めて死ぬときに
“何千回何万回死んでも、私は私のまま生まれ変わる。”
そうやって自分を呪ったから。

あのときは呪術師の存在も、
呪力も知らなかったから、全呪力を投資したはず。

だから折本里香は乙骨憂太に呪われて過呪怨霊になったのと同じように、私も自分自身を呪って、過呪怨霊になったんだと思う。

これは術式なんかじゃなくて、ただの呪い。』



言葉にするほど、過去を思い出し、
胸をなにかに押しつぶされているような
そんな感覚がする。





『なぜ、…それが術式だと思ったの？』

そういうと、夜蛾も話し始めた。




夜蛾「………君に似た呪霊操術を使っていた教え子というのは、夏油傑という男だ。奴は優しく、頑固で、自分の信念は曲げない性格だった。」

『…』

夜蛾「…奴は、50年前に君を助けた呪霊操術の男の生まれ変わりだったのかもしれない。」

『！！』

夜蛾「君は、“生き返ってほしい”と願ったんだろう？」

『それはたまたまでしょ…
いくらでも私に似た人はいるし、性格も似ることだってある、呪霊操術だって_____________』

夜蛾「夏油は、非呪術師の家系だ。」

『…！』

夜蛾「非呪術師の家系に、
いきなり呪霊操術という滅多にいない術式を持った子が
生まれると思うか？」

『…』

夜蛾「君は自身の生死を操ることができ、
少し弱くなるが他人の生死も操ることができる。
……あくまでも私の憶測でしかないが。」



あまりにも飛躍した憶測だった。



『じゃあ、その夏油という男を連れてきてよ。
私がこの目で、確かめるから。』

そう言うと、夜蛾は俯いた。



夜蛾「残念だが、夏油は昨年死んだ。」

『…死んだ？』

夜蛾「あぁ。死んだ。」

『………』

夜蛾「…」

『じゃあ、わかんないじゃん。』


すると一体の呪骸を、取り出した。



夜蛾「私の術式は、極秘だから誰にも言ったことはない。
しかし、君は別だ。
私と少し術式が似ている可能性があるからな。」


『似ている？』


夜蛾「これも憶測でしかないがな」

悪魔の証明と人間の証明　※本誌内容含みます→←憶測と真実

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す