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やさしい遺言とやさしい送辞 ページ33






七海健人






『呪うにも七海も、夜蛾も優しすぎるから、』

そう言った。
核心を突かれたような、感覚。



『…だから、二人で背負ってもらおうと思って。』

七海「…」

『生きていくなら、
優しい人が報われる世界であってほしい。
だから、呪いを一人で抱えてほしくはない。』



これは、彼女から私への遺言だろう。
全てが終わるかもしれない、さいごの言葉。

まるですべてを見透かされているようだ。





七海「…」

だから、頬に触れている彼女の手を取り、抱き寄せた。

『…』

思っていたよりもずっと小さかった。


こんな小さな身体で、
何百年も一人で生きてきたと考えるだけで
胸が締め付けられる思いだ。




七海「優しい人が報われる世界であるならば、
貴方も報われてもらわないと困ります。」

そう言うと、彼女は笑った。



『私は優しい人…じゃなくて、優しい呪霊ね』

揚げ足を取るような発言も、
すべて、それは人間のような温かさで、
今は彼女を離したくない。



七海「いえ、私は貴方を一人の女性として見ています。…たとえ、呪霊だろうと規定がどうであろうと関係ありません。私がそう思うのは自由でしょう?」

身体が離せば、彼女は目を細めて私を見ていた。




『…ふふっ、七海にこんなこと言われるなんて思ってなかった。それにちゃんと言葉にしてくれるタイプなんだね。』

七海「言わなければ伝わらないこともあるでしょう」

『まぁ、そうだけど……かなり意外だと思う。』

七海「…そうですね。元々の性格はあまり言葉にしないタイプだったと思います。しかし…伝えていればよかったと、後悔したことがあるので……。もうそのような思いはもう二度としたくありません。」

『…』




後悔は、人を変えることができる。

そして、後悔ほど消えないものはない。




七海「私は、貴方の幸せを願います。お気をつけて。」



この言葉が、言えたところで、
きっとAさんへの後悔がなくなるわけではない。

でも、彼女が後悔を減らすチャンスを作ってくれた。
その優しさを、私は甘んじて、享受し、
それを大切にしていくことが最善であると思う。




『私も、七海の幸せを願ってる。』



これは別れではなくて、ただの挨拶だ。

きっとまた、どこかで会える。


そんな気がした。

憶測と真実→←呪いの言葉を撤回する



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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!オリジナルが多くある筈ですのに、凄く面白かったです。感涙しましたし本当に考えられていてすごかったです!!続編も続けて楽しませて頂きます!! (3月6日 18時) (レス) @page50 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 柚さん» はじめまして。お褒めの言葉をいただけて、とても嬉しいです。かなり不定期な更新となっていますが、これからも読んでいただけると幸いでございます。これからもよろしくおねがいします🙇‍♀️ (2022年4月14日 23時) (レス) id: 201e0a3aec (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!とても作品が面白かったので、今までで1番読み入ってしまいました!出来れば小説としてお金を払って読みたいぐらいです笑お話の細かい所まで考えられていて本当に凄いと思います..!作品を作るのは大変だと思いますがこれからも楽しみにして応援してます (2022年4月13日 23時) (レス) @page47 id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - ゆゆさん» ご指摘していただいた上に、このお話へのお褒めの言葉とお気遣い、本当にありがとうございます🙇‍♀️!歌姫先生の年齢は完全に私のミスですので、修正いたします。大変失礼いたしました。 (2022年4月4日 0時) (レス) id: da97561712 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ↓作者様にお願いがあるのですが,下のコメントを見た後は「ゆゆ」と言う名前でコメントされている二つのコメントを消して欲しいです。このような神作にこんなコメントを残したくありませんので,よろしくお願いします! (2022年4月3日 22時) (レス) id: 05967b49de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年2月14日 21時

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