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本音のための嘘 ページ27






ベッドに座れと言われて
私はぺたんと座り、
真希がその後ろに座る。

何も言わずに真希は、
木製のつげ櫛で、スーーッと髪をほどいた。


頭のてっぺんから毛先まで、
丁寧に、ゆっくり通す。




真希「正直な話していいか?」

『うん。』

静まり返っていた部屋で、
浅いような深いような話を始めた。



真希「私は未だお前のことがわからない。」

『…』

真希「今日、Aの呪力が強すぎて我を失いそうだった。…強さがわからないから、正直私はお前が怖い。」


真希は認めてくれたり、疑ったりを繰り返していた。


『今も?』

真希「…怖くないといえば嘘になる」

『そう…』


怖いと思いながらも髪に櫛を通し、手で包む。
この私の頼み事は、
真希にとって脅しになっているのかもしれない。



真希「でも、嫌いじゃない。」

『ふっ、…そっか。』

あぁ、やっぱり真希は本当に優しいんだ。




『……私も真希のこと好きだよ。』

真希「…」

『会えて良かったなって、本当に思う。
まぁ、それは皆にも当てはまることなんだけど。』

真希「恥ずかしいこと急に言うなよ」


真希の声が小さくなった。
それが少しだけうれしかった。




真希「はぁ〜…
散々人に嫌われて生きてきたから、
好きだと言われるなんて思ってもみなかった。
お前といると色々狂う気がする。」



きっと禪院家として生まれたことで、
彼女の人生が大きく傾いたことは間違いない。




『真希を嫌いって言った人見る目ないね』

真希「特級様のお墨付きかよ。頼もしいな。」


真希は、ふっと鼻で笑う。

特級様とはいっても、
私の場合、特級呪術師様じゃなくて
特級呪霊様なんだよね。

それが面白くて、私も笑ってしまった。





数分後、真希は櫛をベッドに置いた。





真希「…そんなに好きか?髪を梳すのが」

と、真希の細い指が私の髪に通る。



『なんか、私さ…真希に扱われるとき、
すごく大切にされてるような気がするんだよね。
それが、心地いい。』


素直に話した。
私にとっては真希の声のトーンも匂いも、
髪を触ってる手の触感も全て心地がいいんだ。


真希「…」


部屋が静まる。

最後だから、ちゃんと伝えないといけない。




『ありがとう、真希。

じゃあ、行って来るね。』



ベッドから降りて、そう言い、

扉に向かおうとすると真希は私に、
「早く帰ってこいよ」と、言った。




『うん、すぐ帰る。いってきます。』


最期に私は嘘を付いた。

挨拶は順番に→←最期にやりたいことはなんですか



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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!オリジナルが多くある筈ですのに、凄く面白かったです。感涙しましたし本当に考えられていてすごかったです!!続編も続けて楽しませて頂きます!! (3月6日 18時) (レス) @page50 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 柚さん» はじめまして。お褒めの言葉をいただけて、とても嬉しいです。かなり不定期な更新となっていますが、これからも読んでいただけると幸いでございます。これからもよろしくおねがいします🙇‍♀️ (2022年4月14日 23時) (レス) id: 201e0a3aec (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!とても作品が面白かったので、今までで1番読み入ってしまいました!出来れば小説としてお金を払って読みたいぐらいです笑お話の細かい所まで考えられていて本当に凄いと思います..!作品を作るのは大変だと思いますがこれからも楽しみにして応援してます (2022年4月13日 23時) (レス) @page47 id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - ゆゆさん» ご指摘していただいた上に、このお話へのお褒めの言葉とお気遣い、本当にありがとうございます🙇‍♀️!歌姫先生の年齢は完全に私のミスですので、修正いたします。大変失礼いたしました。 (2022年4月4日 0時) (レス) id: da97561712 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ↓作者様にお願いがあるのですが,下のコメントを見た後は「ゆゆ」と言う名前でコメントされている二つのコメントを消して欲しいです。このような神作にこんなコメントを残したくありませんので,よろしくお願いします! (2022年4月3日 22時) (レス) id: 05967b49de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年2月14日 21時

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