悲しみの奈落の底へ ページ24
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五条悟
憂太に抱きしめられて、
呼吸を荒くして、泣きじゃくって、
冷静さを失ったAを
ただ見ることしかできなかった。
乙骨「先生……すみません、
Aさんを眠らせてあげてください。
もう…限界です。」
何も考えることができなかった。
目の前の状況を上手く整理できなかった。
だから、言われたとおりに、
ストンッとAの額に指を当てて、眠らせた。
ドサッと、力なく倒れるAを
憂太が悲しそうに抱えていた。
五条「憂太。」
乙骨「…」
五条「聞きたいことが山ほどある。」
補助監督を高専へ送ったあと、
Aと一緒に憂太も家に連れてきた。
Aをベッドで寝かせて、
リビングに戻ると
憂太はソファに小さく座っていた。
五条「……わかっていること、知っていること、
…すべて話してほしい。」
憂太は何も隠すことなく、すべて話してくれた。
Aは、500年前に村の生贄にされたこと。
愛していた人と、
生まれ変わって会おうと約束したこと。
その約束を果たすために、
“何千回何万回死んでも、生まれ変わる”と、
自身を呪ったこと。
そして、
生贄にされた日は月食のときだったということ。
つまり今回のあの蟲女の伝言は、
愛していた人からの言葉である可能性が高い。
乙骨「生贄として捧げられる日、
Aさんと一緒に逃げたそうです。
…でも捕まってしまい、
Aさんの目の前で、
殺されてしまった。
だから、
強い恨みを人間に抱いている可能性が高いと思います。
今回の帳も、あの痣の呪霊たちの件もきっと……」
憂太はグッと膝の上に置いている拳を握った。
乙骨「…Aさんはどうすると思いますか?」
掠れた低い声。
どうしようもないやるせなさで、
この感情をどこにやればいいのか
わからなくなっていた。
乙骨「…」
五条「無責任に思えるかもしれない回答だけど、
僕はAの判断に任せるよ。」
乙骨「その返答次第じゃ…
Aさんを祓うことも止む終えないと考えてますか?」
五条「…」
俺よりもずっと、憂太のほうが冷静だった。
五条「いや、」
やっぱり俺は、
大事にしようとしていた人が去っていく背中を
刺すことはできない。
五条「どうにかする。」
乙骨「…」
五条「五条先生に任せなさい。」
と、何の保証もない言葉を吐いた。そういうと憂太は俯き、グググと手を握って、身体を強張らせた。
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!オリジナルが多くある筈ですのに、凄く面白かったです。感涙しましたし本当に考えられていてすごかったです!!続編も続けて楽しませて頂きます!! (3月6日 18時) (レス) @page50 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - 柚さん» はじめまして。お褒めの言葉をいただけて、とても嬉しいです。かなり不定期な更新となっていますが、これからも読んでいただけると幸いでございます。これからもよろしくおねがいします🙇♀️ (2022年4月14日 23時) (レス) id: 201e0a3aec (このIDを非表示/違反報告)
柚 - はじめまして!とても作品が面白かったので、今までで1番読み入ってしまいました!出来れば小説としてお金を払って読みたいぐらいです笑お話の細かい所まで考えられていて本当に凄いと思います..!作品を作るのは大変だと思いますがこれからも楽しみにして応援してます (2022年4月13日 23時) (レス) @page47 id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
0000(プロフ) - ゆゆさん» ご指摘していただいた上に、このお話へのお褒めの言葉とお気遣い、本当にありがとうございます🙇♀️!歌姫先生の年齢は完全に私のミスですので、修正いたします。大変失礼いたしました。 (2022年4月4日 0時) (レス) id: da97561712 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ↓作者様にお願いがあるのですが,下のコメントを見た後は「ゆゆ」と言う名前でコメントされている二つのコメントを消して欲しいです。このような神作にこんなコメントを残したくありませんので,よろしくお願いします! (2022年4月3日 22時) (レス) id: 05967b49de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:。 | 作成日時:2022年2月14日 21時