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side龍友
僕のくつを履いて行ったのは、なんで?
僕に、気付いてもらうため?
それとも、僕に追いかけさせないため?
わからない。
考えれば考えるほど、頭がぐちゃぐちゃになってくる。
わからないんだよ。
僕の馬鹿な頭でどれだけ考えようと、涼太の考えになんて到底、辿り着かない。
言ってくれなきゃ、わからない。
知りたくても、知れない。
わかりたくても、わからない。
どうしても、追いつけない。
それが苦しかった。
龍「どこにっ、おんねんっ、」
息が苦しい。
走って、走り疲れて。
息もあがりきって、苦しくて。
だけど、立ち止まろうとは思わなくて。
どこにいるかなんて、わからない。
何をしているかなんて、わからない。
もしかしたら、追いかけてきてほしくなんかないかもしれない。
だけど、それでも。
涼太のことは、僕が守るんだって。
あのとき、誓ったから。
太陽が見える。
夜が明けた。
ふいに震えたスマホ。
何十件もの着信。
百件近くのLINE。
龍「っ!」
全部全部、メンバーからだった。
いちばん最後の着信だった、裕太くんに電話をかけた。
裕「龍友くんっ!」
電話越しに聞こえる、裕太くんの大きな声。
後ろのほうに、みんなの声が聞こえる。
龍「っ、涼太がっ…」
まだ整わない息では、上手く話せない。
だけど。
裕「大丈夫、落ち着いて」
優しい声が聞こえる。
龍「涼太、おらんっ…どっか…行ってしもたっ…」
僕のその一言で、みんなが息を飲むのがわかった。
なんで、ちゃんと見てやれなかったのか。
後悔ばかり募る。
そんなときに聞こえたんだ。
亜「よし、行くよっ!」
メ「龍友、大丈夫だよ。みんなで探そ?」
隼「みんなで行ったら、すぐ見つかるって」
玲「俺らがいるから」
裕「龍友くんも俺らを頼ってや。もうひとりで涼太くんのこと、守る必要ないんやから」
"ひとりで守らなくていい"
胸の奥まで響いた言葉。
亜「俺らにも、涼太のこと守らせてって言ったじゃん」
メ「みんなで守るんでしょ?」
柄にもなく、涙が溢れる。
止まることを知らなかった僕の足は、動かなくなっていた。
だけどすぐに、動かしてくれた。
だって、すぐにみんな来てくれたから。
もう一度、今度は6人で。
夜が明けたばかりの街を駆け出した。
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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年8月27日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - これからも楽しみにしてます(*´∀`) (2020年8月27日 19時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 涼太が謝る"理由"(´;ω;`)気になります(´;ω;`) (2020年8月24日 21時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - りささん» いつもコメントありがとうございます! (2020年8月24日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太君が無事に退院出来るといいな(*^-^*) (2020年8月24日 1時) (レス) id: 3d828ae167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:npagxp | 作成日時:2020年4月1日 19時