そばに居るから。 2 (ページ34)

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sideメンディー

カタンッ…

メ「…んっ、？」

ここどこだっけ、と、目を開いて見慣れない風景に首をかしげる。

あぁ、そうだ。

龍友と涼太の家に来て、みんなでお泊まりにしたんだ。

コトッ…

小さな音が、静まり返ったリビングに響く。

少し怖いなと思いながらも、ゆっくりと体を起こして辺りを見渡す。

メ「あれ、」

キッチンから漏れる少しの明かり。

確か寝るときには、龍友が消していたはずなのに。

？「っん、っく、はぁ、」

不思議に思っていると、小さな声が聞こえてくるような気もして。

気になり始めると、もうそれしか見えなくなる。考えられなくなる。

メ「りょーた、？」

そこには、ペタリと床に座り込んで顔をおおう涼太の姿があった。

涼「ぁ…」

優しく声をかけたつもりだけど、涼太は大きく体をビクつかせる。

メ「ごめん、ごめんね。怖がらないで、大丈夫だから、」

どこから持ってきたのか、誰かのパーカーを握りしめて。

目にはたくさんの涙、それは頬まで溢れて出ていて。

メ「怖くないから、こっち、おいで？」

キッチンには、包丁や火をはじめとする危険なものがたくさんある。

そんなことはしないと思いながらも、儚く壊れそうに震える涼太は、今にも消えてしまいそうで。

メ「おいで？一緒に寝よ？」

涼「ぁ、ぁ、ぁ、」

震える涼太は、じっと俺を見つめて言葉にならない小さな声を漏らす。

さっき龍友と約束したのに。

涼太の頼れる人になるって。

守れるようになるって決めたのに。

だけどどれだけ声をかけてみても、涼太は震えたままで動こうとしない。

こんな真っ暗な深夜から涼太を起こしておくわけにはいかない。

こんなにも震える涼太を、放ったらかしになんてできない。

だけど今の俺には、何も出来なくて。

メ「ぁ…りょーた、ほら、おいで、？」

これなら、もしかすると。

最後の賭け。

その想いで、しゃがみ込んで手を広げる。

メ「ほら、ぎゅっ、て。ぎゅってしよ？」

そう言って、できる限り優しく笑う。

だけど涼太は何も言わずに、広げられた俺の手をじっと見つめている。

これもダメか。

そうなれば、やっぱり俺は。

やっぱり何もしてあげられないのかな。

そう思ったとき。

涼「ぁ、」

メ「りょー、た、？」

目の前の涼太が、少しだけ俺のほうに向いて、震える右手を伸ばしてきたんだ。