そばに居るから。 2 (ページ17)

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side龍友

合宿中は2人か3人でひとつの部屋だと言われ、特別誰かと親しくしてるわけでもない僕は、迷わず涼太の傍へ言って声をかけた。

涼「ふたり、で、一緒の、部屋、？」

龍「おん。あ、僕じゃ嫌やった？」

涼「やっ、違くて、ごめん、」

部屋に入るなり、珍しく涼太から声をかけられて。

だけどそう言ったきっり黙り込んでしまった。

龍「何しとんの？」

とりあえずパンパンに詰め込まれたキャリーバッグを開く。その時にふと涼太を見た。

ベッドと壁とハンガーラックに囲まれた、部屋の中では最も薄暗いような隅っこに座り込んでいて。

僕が声をかけると、ビクッと明らかに体を揺らした。

そして涼太は、しきりに首を触り始めて。

涼「…っめん、なさっ…ごめっ…おこっ、ないで…」

龍「っえ…？涼太っ！」

過呼吸のような状態に陥りながらも、ひたすら謝り始めて。

わけがわからないまま、いつかの涼太にしたように抱きしめた。

龍「大丈夫、大丈夫。僕のことだけ考えて。ちゃんとここにおるから」

涼太が何に怯えて、何に謝っているのかなんてわからない。

だから正直、何を言ってあげるべきなのか全くわからない。

だけど直感で。

温もりをあげるべきなんじゃないかって。

僕がここに居るってことを教えてあげるべきなんじゃないかって思った。

涼「…んっ、ごめっ…りゅ、とくん、」

龍「全然いいんやで。大丈夫か？」

涼「ん」

落ち着いたのか体の力がだいぶ抜けた涼太は、今は大人しくすっぽりと僕の腕の中に収まっていて。

ツンッと引っ張られる感じがしてお腹辺りをみると、涼太がその細い指で僕の服をしっかりと掴んでいた。

優しく涼太の頭を撫でていた。

いつまでも涼太を抱きしめていた。

面倒臭いからって、人と関わるのをあんなに避けていたのに。

服を掴まれていることが、求められているように思えて。

求められることが、こんなにも嬉しいなんて。

龍「あれ、何これ…っ！」

涼太の首に付いた、不自然な痣。

鎖みたいな、そんな感じ。

それはひとつだけじゃなくて、首の全体に付いていた。

やっぱり、涼太は僕が守らなきゃ。

こんな痣、普通なら付かない。

涼太が苦しんでいるのは事実なんだ。

涼「龍友くん…っぁ、」

僕を見上げた涼太は、僕が涼太の首を見ている事に気が付いて。

涼「っ、嫌い、なんないで、」

小さな呟きは、今にも消えてしまいそうだった。