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side龍友
本当は、誰とも関わるつもりなかった。
絶対に受かってやる!っていう気合いで挑んだオーディションなんだから、別に僕以外の人は誰が受かろうと関係ないんだから。
だけど何故だろう。
あんな人気のない廊下で、僕より明らかに小さい男の子に声をかけたのは。
このオーディションは15歳以上しか受けられない。
だけど廊下にうずくまっていたその男の子は、15歳になっているとは思えないほど小柄で華奢だった。
思わず買ったばかりの水を渡し、少し気になったものの僕の心配することではない。あくまでも初めて会った他人なんだから。
そう思っていたのに、オーディションの時間が迫って会場を歩いていると、見覚えのある小柄な男の子がキョロキョロと歩いていた。
自分でもわからなかった。
何故、声をかけたのだろう。
もう他人には関わらないでおこうと、水を渡した後にこの男の子のことは忘れようと決めたのに。
危なかっかしいその姿に思わず声をかけて、どこかへ消えそうなその腕を掴んだ瞬間。
言葉にならない声で叫び、うずくまった少年。
直感でこのままだとまずいと思って、咄嗟に抱きしめた。
嫌だともがく少年を離すまいと抱きしめていると、ふっと力が抜けたように思えて、そのタイミングでまた人気のない廊下に連れて行った。
龍「涼太、大丈夫か?」
少し話して会場に戻る。
涼太と言ったその少年は、会場に近付くにつれて小さく震えていく。
涼「ん、だい、じょぶ、」
そう言って不安そうに震える涼太の肩を、そっと抱き寄せて撫でる。
龍「大丈夫、大丈夫」
まぁこいつはたぶん訳ありなんだろう。
こんなに震えて何かに怯えていて。
だけどきっとそれは、僕が踏み込んではいい場所なんかじゃない。
だからあえて、何も聞かなかった。
涼太は、僕の問いかけに答えるだけ。
必要以上のことは何も言わなかった。
龍「何やってんだろ、僕」
自分の部屋のベッドにダイブして呟く。
家に帰ってきても、涼太が頭から離れない。
結局あいつとオーディション会場に戻ってからは、それぞれの場所で1次審査を受けた。
帰りに涼太を見つけることは出来なくて、大丈夫だったんだろうかとグルグル考える。
龍「あ、」
数日後、オーディションの1次審査の模様がテレビで放送された。
そこに映っていたのは、紛れもなく"涼太" であって、歌が上手い美少年としてピックアップされていた。
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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年8月27日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - これからも楽しみにしてます(*´∀`) (2020年8月27日 19時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 涼太が謝る"理由"(´;ω;`)気になります(´;ω;`) (2020年8月24日 21時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - りささん» いつもコメントありがとうございます! (2020年8月24日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太君が無事に退院出来るといいな(*^-^*) (2020年8月24日 1時) (レス) id: 3d828ae167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:npagxp | 作成日時:2020年4月1日 19時