検索窓
今日:11 hit、昨日:57 hit、合計:113,112 hit

#61 ページ13

side龍友

本当は、誰とも関わるつもりなかった。

絶対に受かってやる!っていう気合いで挑んだオーディションなんだから、別に僕以外の人は誰が受かろうと関係ないんだから。




だけど何故だろう。

あんな人気のない廊下で、僕より明らかに小さい男の子に声をかけたのは。

このオーディションは15歳以上しか受けられない。

だけど廊下にうずくまっていたその男の子は、15歳になっているとは思えないほど小柄で華奢だった。




思わず買ったばかりの水を渡し、少し気になったものの僕の心配することではない。あくまでも初めて会った他人なんだから。



そう思っていたのに、オーディションの時間が迫って会場を歩いていると、見覚えのある小柄な男の子がキョロキョロと歩いていた。





自分でもわからなかった。

何故、声をかけたのだろう。

もう他人には関わらないでおこうと、水を渡した後にこの男の子のことは忘れようと決めたのに。




危なかっかしいその姿に思わず声をかけて、どこかへ消えそうなその腕を掴んだ瞬間。







言葉にならない声で叫び、うずくまった少年。

直感でこのままだとまずいと思って、咄嗟に抱きしめた。

嫌だともがく少年を離すまいと抱きしめていると、ふっと力が抜けたように思えて、そのタイミングでまた人気のない廊下に連れて行った。









龍「涼太、大丈夫か?」

少し話して会場に戻る。

涼太と言ったその少年は、会場に近付くにつれて小さく震えていく。


涼「ん、だい、じょぶ、」


そう言って不安そうに震える涼太の肩を、そっと抱き寄せて撫でる。

龍「大丈夫、大丈夫」



まぁこいつはたぶん訳ありなんだろう。

こんなに震えて何かに怯えていて。

だけどきっとそれは、僕が踏み込んではいい場所なんかじゃない。


だからあえて、何も聞かなかった。

涼太は、僕の問いかけに答えるだけ。

必要以上のことは何も言わなかった。









龍「何やってんだろ、僕」

自分の部屋のベッドにダイブして呟く。

家に帰ってきても、涼太が頭から離れない。


結局あいつとオーディション会場に戻ってからは、それぞれの場所で1次審査を受けた。

帰りに涼太を見つけることは出来なくて、大丈夫だったんだろうかとグルグル考える。






龍「あ、」

数日後、オーディションの1次審査の模様がテレビで放送された。

そこに映っていたのは、紛れもなく"涼太" であって、歌が上手い美少年としてピックアップされていた。

#62→←#60



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (189 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
336人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 片寄涼太 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年8月27日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - これからも楽しみにしてます(*´∀`) (2020年8月27日 19時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 涼太が謝る"理由"(´;ω;`)気になります(´;ω;`) (2020年8月24日 21時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - りささん» いつもコメントありがとうございます! (2020年8月24日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太君が無事に退院出来るといいな(*^-^*) (2020年8月24日 1時) (レス) id: 3d828ae167 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:npagxp | 作成日時:2020年4月1日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。