検索窓
今日:2 hit、昨日:37 hit、合計:188,362 hit

#30 ページ30

side龍友

龍「んっ、」

窓から差し込む光で目が覚めた。

龍「りょーたぁ、りょーた、?涼太っ!?」



涼太の顔を見た、はずだった。

なのに。

涼太がいない。



ベッドの横に置いてあった靴もなくなっていた。



なのに、スマホと財布は置きっぱなしで。



カサッ


龍「ん?これっ…」


手に触れた紙切れ。


"ありがとう。ごめんね。
大好きだよ。 涼太"


龍「くそっ…涼太っ!」


紙切れを握りしめて走り出した。



早く、早く。

涼太に会いたい。

無事でいてくれ。

ただ、それだけでいい。





ありがとう。
その言葉は、誰に向けたもの?

ごめんね。
その言葉は、何に対するもの?

大好きだよ。
その言葉は、どんな意味が込められたもの?




聞きたいこと、たくさんあるんだよ。

教えてよ。

ちゃんと全部、受け止めるから。

絶対に守るから。




プルプル…

メ「もしもしー?」

龍「涼太がっ、おらんくなってしもた…!」

メ「えっ?」

龍「ごめんっ、!」



おそらく事態を理解出来ていないであろうメンさんとの電話を、一方的に切る。



龍「どこや…涼太の行きそうな所…」


目指す所もなく、ただひたすら走った。




龍「はぁはぁ、なんでおらんの…」


一向に涼太は見つからず、朝日が昇ってきている。


早く見つけないと。

涼太が何時に病室を出たのかがわからない。

まだ寒さの残る朝。

だからこそ、早くしなければ。



龍「あれっ、て、?」


早朝から散歩しているのであろうお年寄りがちらほら見受けられる公園。

その片隅にあるベンチに横たわる人影。



それが涼太だという確信はなかった。

だけど僕は、そこに引き寄せられるかのように足が公園の中へと向かっていた。




龍「りょーたっ…」


近付くにつれて、高まる鼓動。

そして顔を覗き込む。


涼太であってほしい。早く会いたい。

だけど、涼太であってほしくない。

だってこんな寒い所にずっと居たかと考えると、背筋がゾッとする。




龍「涼太っ!」

そこにいたのは、紛れもなく涼太で。

すぐに上着を涼太にかけて、救急車を呼ぶ。



龍「寒いなぁ。あとちょっと頑張ろうな」


涼太の身体はすっかり冷えきっていて、ガクガクと震えていた。


涼「…ぁ…りゅ…と…くん…」


うっすらと目を開けた涼太の、今にも消えそうな声。



龍「大丈夫、大丈夫。な?僕がおるから、」

冷えきった身体を温めるように、ひたすら抱きしめていた。

#31→←#29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
315人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 片寄涼太 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年4月1日 21時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 続編も楽しみにしてます(*´∀`) (2020年4月1日 17時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» お仕事お疲れさまです!そう言って頂けるととても嬉しいです!できるだけたくさん更新できるよう頑張ります! (2020年3月9日 16時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 今、仕事がすごく忙しくて(;_;)このお話読むのが1つの息抜きです(;_;)更新ありがとうございます!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» コメントありがとうございます!今まであまり末っ子を出せなくてすみませんでした…これからはもう少しバランスよくだせるように頑張ります! (2020年2月2日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:npagxp | 作成日時:2020年1月19日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。